スーパーレザーとビッグバン・ベイダーは、スーパーFMW事務所にファックスを送付した。スーパーレザーは死亡説の誤報も出た怪奇派レスラーで、ベイダーは三冠ヘビー級王座など数々のタイトルに輝いたレスラーである。二人は以下内容のファックス声明で、息子を送り込むと宣言した。
スーパーレザー「今はいろいろあって日本に行く気はない。代わりに息子の2代目スーパーレザーを送り込む。はっきり言って父親より何倍も強い。日本のファン、またターザン後藤をはじめ、FMWの選手、覚悟しておけ!」
ベイダー「今回、後藤がしつこく挑戦してくるから受けて立ってやる。しかし、オレ様は4月に始まった日本のレジェンドたちとの闘いに集中するため、米国でバカンスを兼ねて調整中だ。日本に行く時間はない。代わりに息子のジェイシー・ホワイトを8月20日に送り込んでやる。プロレス界の皇帝、ジェシーが怪しげなFMWをメジャー団体に改革してやる」
スーパーレザー2号は第4試合に出場し、金村キンタローと対戦した。当初はフレディ・キット&ジェイソン・キット&スーパーブキーマン・キットの3名と戦うハンディキャップマッチの予定であった。しかし、金村の対戦相手のトレバー・マードックが欠場したため、上記の対戦カードとなった。金村は決して小柄ではないが、スーパーレザー2号との体格差は歴然としている。ハンディキャップマッチを予定していたことも納得である。
会場の声は「金村」「金ちゃん」と金村への声援が大きかった。金村が攻撃を受けても「返してやれ」「返せ」と反撃を期待する声が出た。スーパーレザー2号が勝利したが、試合終了後もスーパーレザー2号は椅子をリングに入れ、金村を攻撃した。暴れるスーパーレザー2号を運営スタッフが何とか退場させた。その後で観客席に一礼して退場する金村には、観客席から暖かい拍手が送られた。
ジェシー・ホワイトは第5試合に出場し、「アー」と叫びながら登場した。対戦相手は後藤達俊である。ジェシーが後藤をコーナーに押し込んで攻撃するなど激しい攻防が続いた。最後はジェシーがフォールを決めて勝利した。スーパーレザー2号の試合とは対照的に両選手は握手し、会場からは拍手が起きた。
スーパーレザーとベイダーが本人ではなく息子を送り込んだことについて、ターザン後藤は試合前に「怖がって息子を出して逃げるな」と怒りを露わにしていた。そして「それぞれ刺客を当てて痛い目に遭わせてやる」と宣言した。試合結果は息子たちの勝利であり、ターザン後藤の思惑通りにはならなかった。この点は今後の展開に期待したい。
(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者 林田力)