実行委員会には、坂口征二(新日本プロレス相談役)、天龍源一郎(天龍プロジェクト)、秋山準(全日本プロレス代表)、H.J.T.Productionといった今は亡き馬場さん夫妻とゆかりのあるメンバーが名を連ねた。現在の運営会社は違うものの、馬場さんが設立し旗揚げをした全日本プロレスをはじめ、新日本プロレス、大日本プロレス、プロレスリング・ノア、WRESTLE-1からの参加が決定。参加団体やフリー選手は今後も増えることが予想される。来年は日本武道館で開催された『プロレス夢のオールスター戦』(1979年8月26日)から40年を迎えるが、平成最後のオールスター戦にふさわしい大会になりそうだ。
今年4月に馬場さんを公私にわたって支えてきた元子夫人(元全日本プロレス社長)が亡くなったが、元子さんは姪の緒方理咲子さんに「来年は馬場さんの没後20年よね。馬場さんの没後20年をきっかけに、またみなに馬場さんの存在を見ていただきたい。来年、どうしたらよいかなあ。馬場さんはどうしたら喜んでくれるかなあ。馬場さんにまつわる方々にたくさん来ていただいて何かできたらいいなあ」と亡くなる前日まで話していたという。今年7月に馬場夫妻ゆかりのキャピタル東京で行われた元子さんのお別れ会でその話が話題となり、今大会を開催する運びとなったという。
坂口氏は「51年前、25歳の時に柔道界からプロレスへ転向しまして、そのまま馬場さんと一緒にハワイに行き、プロレス修業をしました。その間、馬場さんには弟のように可愛がってもらいました。一時は袂を分かちましたが、その後も本当に可愛がってもらいました。今、私がノウノウと生きていられるのも馬場さんのおかげと感謝しております」と振り返る。
「先般、元子さんのお別れ会にOBがたくさん集まってくれて、緒方さんから『来年は没後20年だから、それにふさわしいイベントをやりたい』と、話が盛り上がりました。プロレスファンが喜んでもらえるような、そしてプロレスがますます隆盛になるイベントになってほしい」と坂口氏は力を込める。
さらに坂口氏は「プロレス界は山あり谷ありで、きつい時代も随分味わってきました。苦しい時代があって、またいい時代になるというのがプロレス界。そういう中で、このような明るい話題がありますと、プロレスが世間的にも認められ応援してくれる方も多いと思います。ぜひとも大会を成功させていきたいと思います」とコメントした。
坂口氏は新日本の社長就任直後の1990年2月、東京ドーム大会に出場予定だったリック・フレアーが団体の都合でドタキャンしたため、当時は鎖国を貫いていた全日本の社長だった馬場さんに選手の貸し出しを直訴。馬場さんは「お前の社長就任祝いだ」と主力選手を5人も新日本に派遣した。一時的ではあったがその後も新日本と全日本が外国人選手を行き来させるなどしていた。馬場さんが亡くなった際には新日本から坂口氏と藤波辰爾だけが弔問を許された。
馬場さんの弟子である天龍は「20年というのは実感として胸に迫る思いがあります。馬場さんの追善興行を両国国技館で、新日本をはじめ多くの他団体の方が協力してくれるというのもまた、僕たちにとってもプロレス界にとってもうれしい。僕が相撲からプロレスに転向した時、世の中のしきたりとか物事を教わったのも馬場さんであります。陰になっていつも馬場さんを支えておられた元子さん。微力ではありますが力添えできれば幸いと思っております」と改めて馬場夫妻に感謝した。
「今はプロレスがスポットライトを浴びている時。プロレスを継続する力を与えてくださったのが馬場さんだと思っています。若いファンの人、最近プロレスを見るようになった人にもジャイアント馬場という人がいて、今、これだけプロレスが隆盛になっているんだなと思ってもらえるためにも、この大会はいい機会だと思ってます」と天龍は強調。
最後に「馬場さんはアメリカンプロレスに日本のプロレスを織り交ぜた、最初のキッカケを作ってくれた人だと思っています。みなさんの中で回顧していただければ幸いだと思う」と呼びかけた。2015年に引退し、現在はタレントとして活躍している天龍は、1990年に全日本を電撃退団。馬場さんと袂を分かっているが、2000年に選手が大量離脱しピンチに陥った古巣に元子さんの依頼で復帰した過去がある。
また会見では『ジャイアント馬場20thメモリアルイベント〜ジャイアント馬場展』が12月29日から2019年1月7日まで、渋谷東急百貨店本店3階イベントサロンで開催されることも発表された。入場無料。展覧会では馬場さんの愛用品、直筆の油絵、チャンピオンベルトが飾られる。また馬場展開催記念として、スペシャルゲストのトークショーや、福袋、記念品グッズの販売も行われるとのこと。
来年は2月にかけて、平成最後のオールスター戦とともに、“明るく!激しく!楽しい!”プロレスを独占したジャイアント馬場というレスラーが再評価されることになるだろう。
取材・文 / どら増田
写真 / ©︎H.J.T.Production