全日本はアントニオ猪木が新日本を旗揚げした7か月後、1972年10月に故・ジャイアント馬場が旗揚げ。馬場が1999年1月に死去すると、故・三沢光晴が社長に就任するも、プロレスリング・ノア設立のため退社。その後、馬場元子氏を経て、新日本から電撃移籍した武藤敬司が社長に就任するが、2012年に白石伸生が買収すると、団体が混迷。武藤一派の離脱などもあり、2014年に秋山準が新会社を立ち上げる形で老舗団体を継承した。秋山全日本は石川修司をはじめインディーの選手にも積極的に門戸を広げ、健介オフィスから移籍した宮原健斗を次代のエースに据えて、本来の全日本の持ち味である期待を裏切らない試合内容を提供し続けたこと、マニア心を節々にくすぐる選手を参戦させたり、マッチメイクを行うことが評判を呼び、一時は閑古鳥が鳴いていた後楽園ホールを定期的に満員にできる力をつけている。
今大会は、メインイベントで外国人エース、ジョー・ドーリングに宮原健斗が挑戦する三冠統一ヘビー級選手権試合が決定。昨年10月に諏訪魔に敗れて同王座から陥落した宮原が、その諏訪魔に勝って第59代王者になったジョーの壁を越えることができるのか注目される。セミファイナルは世界タッグ選手権試合、第81代王者のゼウス&ボディガーが、崔領二&ディラン・ジェイムスの元ゼロワン勢の挑戦を受ける。
スペシャル6人タッグマッチでは諏訪魔が、佐藤光留、岡田佑介とのトリオで、因縁深い藤田和之、ケンドー・カシン、NOSAWA論外と6人タッグで対戦。諏訪魔と藤田は、2015年11月に天龍源一郎引退興行でタッグマッチが組まれたが、お互いに空回りしてしまい、観客からはブーイングと罵声が飛び交う試合になっている。今回は諏訪魔のホームリングである全日本マットで対戦するだけに、2年4か月ぶりの再戦は、今度こそシングル実現への布石を打つような凄い試合になるのか?まずは試合を成立させてもらいたい。
その他の注目は、2.3横浜文化体育館大会で、野村直矢&崔領二からアジアタッグ王座を奪取した第104代王者、秋山準&永田裕志(新日本)が、大森隆男&中西学(新日本)の挑戦を受ける。欠場中だった大森はこれが復帰戦となり、中西との久々のタッグにも期待が膨らむ。また、第47代世界ジュニア王者、青木篤志は最強の挑戦者、近藤修司(WRESTLE-1)と対戦。こちらも激戦は必至だ。
他にもKAI、ヨシタツ、火野裕士、渕正信、TAJIRI、西村修、ウルティモ・ドラゴン、鈴木鼓太郎、丸山敦、吉江豊から佐野直まで役者がズラリと揃っている全日本さいたまスーパーアリーナ(コミュニティアリーナ)大会。この大会が終わると、馬場全日本時代から続いている『チャンピオンカーニバル』が4月7日仙台サンプラザホールで開幕するとあって、単なるビッグマッチでは終わらない大会になるだろう。
文・どら増田
カメラマン・舩橋諄