山口の事件により、このまま闇に葬られそうな作品がある。事実上の初主演作となった1996年公開の映画『That'sカンニング! 史上最大の作戦?』である。
「『That'sカンニング』は、落ちこぼれ大学生たちが寮の存続をかけて、あの手この手で試験の成績をカンニングであげようと試みる青春コメディ映画です。山口は理系大学生の木村見次を演じました。対する物語のヒロイン、森下由美を演じたのは歌手の安室奈美恵でした。安室はこの秋に芸能界引退を宣言しています。それまでに山口の謹慎は解けないでしょうから、今後この映画に言及することはないでしょう」(サブカルチャーに詳しいフリーライター)
『That'sカンニング』にはイケメン俳優としてブレイクする前の藤木直人や、国会議員になる前の山本太郎なども出演している。ある意味では貴重な並びである。
「『That'sカンニング』では、森下が木村に思いを寄せているものの、野暮ったい木村はなかなかその気持に気付かないといったラブコメ要素があります。安室は大根演技かと思いきや、男だらけの理系大学に紛れ込んだ八頭身美女がハマり役です。隠れた名作映画といえるでしょう。主題歌は、オープニングはTOKIOの『ありがとう…勇気』、エンディングは安室の『SWEET 19 BLUES』で時代を感じさせます。ただ、コメディ映画とはいえ、犯罪行為の『カンニング』が美学として扱われるなど、コンプライアンス重視の現在にあっては批判を受けそうでもありますね」(前出・同)
もともと「黒歴史」「なかったことにされている」系の作品であったが、山口の事件と安室の引退で、さらに存在感を失っていきそうだ。