ダンスインザダークにザッツザプレンティ。菊花賞2勝トレーナーをもってしても、いまだにつかみどころがない。ノットアローンについて橋口師は苦笑交じりにこう切り出した。
「この馬に関しては、ほんとにつかみ切れない面がある。期待すると走らないし、期待しないと走ってくれる。前走だって…」
その前走はラジオNIKKEI賞。57キロの厳しい負担重量に、忙しい小回りコース。すんなり先行できないとモロい馬には実に厳しい条件だった。ところが結果は3番手からジワジワ粘ってレオマイスターの2着を確保。地力の高さを改めて証明した。「ああやってスムーズに流れに乗れれば重賞でも勝ち負けできるんだ」と師はうなずいた。
その後はここを目標に夏休みを挟んでじっくり立て直された。「順調に乗り込んできたから、仕上がりはいいよ。休養明けだけど、もともと細身の体つきだから仕上げにはそんなに手間がかからない」といきなり力を出せる態勢だ。
そもそもノットアローンには、休み明けだからと悠長なことはいっていられない事情がある。
「この距離で引っ掛からずに競馬ができるか。折り合いを欠いて負けるようなら菊花賞はやめて別路線に向かう。何とか頑張ってほしい」
クラシック最後の1冠。師にとっても3度目の偉業を目指す戦いが始まる。
【最終追いVTR】小牧騎手が乗って坂路で併せ馬。相手がバテたこともあるが、ゴール前での叩き合いではアッサリ4馬身差抜け出した。最後は抑えるくらいの余裕の先着。久々だが状態に関してはまったく心配ない。