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腹心・小林繁コーチを失った梨田監督は前途多難…

 北海道日本ハムファイターズ・投手コーチ、小林繁氏の訃報が飛び込んできたのは17日未明。前日、親会社のイベントで顔を合わせた梨田昌孝監督(56)は「信じられない」と繰り返していたが、2月1日のキャンプインの日程は変更できない…。指揮官として、故人に代わって、残した職務を全うしなければならない。
 「小林さんは今季から一軍コーチに昇格することが決まっていました。この人事は梨田監督の要請によるもの。入れ替えで二軍担当に就く予定だった吉井(理人)コーチを、再び一軍に呼び戻すことになるでしょうね」(チーム関係者の1人/1月18日時点)
 一軍コーチへの昇格は、梨田監督の一存で決められた。

 「吉井コーチとの折り合いが好くないみたいで…。小林コーチは梨田監督、吉井コーチの両方と巧くやっていたから、小林コーチが一軍に昇格し、梨田監督と二軍(吉井コーチ)のパイプ役になるのは、人事異動として決して悪い話ではなかった」(同)
 梨田監督と故人との信頼関係は、近鉄時代からである。

 こんな逸話も残っている。巨人から近鉄に移籍した石毛博史が制球難で喘いでいたときのことだ。近鉄投手陣を任されていた故人は、「10球連続でストライクが入るまで、投球練習を終わらせない!」と眼を釣り上げた。石毛はそれに従ったが、8球、9球とストライクが続いた後の「ラスト1球」が決められなかった。何度も何度も「ゼロカウント」に戻り、200球を越えたころだった。石毛が「許してくれ」という目線を向けた。
 「そういう甘えた気持ちがあるから、勝てないんだ!」
 普段の語り口はソフトで、理論派のイメージも強いが、本当は“武闘派”だったのである。

 「近鉄コーチ時代の故人を知る野球人は、『怒ると怖い』と言っています。吉井コーチが兄貴的な指導者なら、小林コーチは選手に厳しいことも言い、憎まれ役も辞さないタイプでした」(在阪球団職員)
 梨田監督にとって、頼もしい腹心であったことは間違いないが、小林、吉井両コーチの一、二軍の配置換えに全スタッフが賛同したわけではなかったという。
 「日本ハムの監督に招聘されたとき、同じく近鉄時代のパートナーだった真弓明信・現阪神監督にも『一緒に日本ハムに行かないか?』と声を掛けています。真弓監督が断り、袂を分けたんです」(在阪球団職員)
 梨田監督にとって、日本ハムとの『縁』はなく、『外様指揮官』だ。外部招聘されたプロ野球指揮官は多かれ少なかれ、旧在籍チームのパートナーにも声を掛ける。王貞治ソフトバンク会長がダイエーホークスに招かれた際は、巨人関係者を1人も連れて行かなかった。どちらが正しいかではなく、吉井コーチも二軍担当の準備を始めていた。一、二軍の選手振り分けなど、故・小林コーチと詰めていた話もあるだけに、梨田監督は吉井コーチと再審議しなければならない課題も出てきた。吉井コーチも新しい二軍コーチと引き継ぎを行わなければならないだろう。

 「自分の一派でコーチスタッフを固めてしまうのは、組織として宜しくない。そういう懸念もないわけではありませんでした」(前出・チーム関係者)
 いすぶれにせよ、キャンプイン直前のこの時期に、『腹心』を失うことは、ダメージが大き過ぎる…。同関係者はさらにこう続ける。
 「昨季の日本シリーズ登板後に骨折が判明したダルビッシュに、春先は無理をさせたくありません。若手投手が頭角を現さないことには首位戦線を戦えません。今季の一軍投手コーチの責任は大きいですよ」
 梨田監督にとって、辛いシーズンが始まりそうだ。

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