三木谷氏が球界に一石を投じたのは、11月14日に開かれたプロ野球オーナー会議でのこと。2020年東京五輪での野球復活を追い風に、欧州サッカーが外国人枠を撤廃して盛り上がった例をあげ、「プロとして最高のプレーをファンに見せるためには、日本人も外国人もない」と力説した。
援護射撃はなかったものの、水面下ではソフトバンクの孫正義、オリックスの宮内義彦、巨人の老川祥一オーナーらも賛同しているという情報もある。スポーツ紙デスクが解説する。
「孫氏が乗り気なのは、かねてより提唱するMLBワールドチャンピオンと日本シリーズチャンピオンによる真の世界一決定戦を開催する計画が暗礁に乗り上げているから。MLB側は『我々は外国人に門戸を開放しているのに、日本球界は外国人選手を制限している』と反発し、日本に外国人枠撤廃を迫っている。巨人は一連の野球賭博問題がこの先、思わぬ方向に進展する可能性がないと言い切れない。将来的にイチロー監督を目論むオリックスも、思惑は違えど賛成派」
現在、一軍の外国人枠は投手・野手合わせて4人。ベンチ入りは最大3人までと定められている。しかし、FA選手、帰化選手、日本の中高に3年、大学なら4年在籍した選手はここに含まれないことから、さらに外国人枠を拡大することで、スタメンを“外国人選手”で揃えることも可能となる。
大きな障害になっているのが「外国人選手に職を奪われる」ことを危惧する労組・日本プロ野球選手会。現在の会長は皮肉なことに楽天の嶋基宏捕手。三木谷氏と嶋の関係は以前からギクシャクしていると言われ、大久保博元監督時代には現場に介入し、試合途中でバッテリーごと交代させたシーンもしばしばあった。
「嶋はFA権を行使せず“生涯楽天”を宣言して残留したが、それでも不安な三木谷オーナーは、このオフにソフトバンクを戦力外となった細川亨捕手を獲得した。西武から楽天にFA移籍した仙台出身の岸孝之投手同様、細川も青森の出身。興行面も考え、東北の選手を集めたという単純な構図ではなく、外国人枠撤廃の布石だ」(同)
Jリーグ・ヴィッセル神戸のオーナーでもある三木谷氏は先日、サッカーの世界的強豪「FCバルセロナ」と4年間のスポンサー契約を結んだと発表した。スポンサー料は1シーズン推定5500万ユーロ(約64億円)で、楽天イーグルスの選手総年俸の3倍。これでバルセロナの控え選手や構想外の選手をレンタル移籍させることも可能になり、Jリーグ王者も視界に入れた。
次は外国人枠を撤廃し、楽天イーグルスを一流メジャーリーガーで埋め尽くす。資金力は十分あるが…。