テリーは「空中浮揚とかバラエティっぽく面白いなと見ていた。当時はそこまで悪い人間だと思っていなかった。キワモノだと思っていた」と釈明した。
「テリーはテレビ演出家として、麻原彰晃をバラエティ番組に起用しています。麻原が若者の人生相談に応える『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』(日本テレビ系)の映像は、現在も動画サイトなどで閲覧できますね。宗教団体の教祖でありながら、好きな女優の名前をあげるなどフレンドリーなイメージが強調されており、結果的に教団のPRに貢献してしまった面はあるでしょう」(放送作家)
さらに、テリーがオウムをネタにしたのは『生ダラ』ばかりではない。
「『浅草橋ヤング洋品店』(テレビ東京系)で行われた水中素潜り対決も、オウム真理教の修行である“水中クンバカ”をモデルにしたといわれています。番組では、ダイバーを題材にした映画『グラン・ブルー』をモチーフとしていましたが、実はオウムの裏テーマがあったのです。テリーは、当時は謎の国であった北朝鮮に注目するなど、ユニークな視点の持ち主です。オウム真理教もそうした『よくわからないけれども面白いもの』のひとつであったのでしょう」(前出・同)
もちろんテリーに限らず、当時はサブカルチャー系の雑誌が麻原のインタビューを掲載するなど、オウムを面白がる時代の空気があったのは確かであろう。それが教団の危険な部分を覆い隠してしまったのは否めない。テリーのコメントにデーブ・スペクターがメディアの責任を問うたように、90年代に対する反省が必要だとも言えるだろう。