オウム真理教は90年代はじめに、バラエティ番組や、サブカルチャー系の雑誌に取り上げられるなど、“おもしろネタ”として消費されてきた部分もある。まがい物であることを承知で面白がる姿勢があったといえるだろう。教団から殺害されかけた漫画家の小林よしのりは、それを「オウム的」と呼び批判した。
そのような中で、オウム真理教にガチンコの対決を挑んでいた存在がいる。お騒がせ芸人として知られる江頭2:50だ。
「体の柔らかい江頭は、麻原彰晃の空中浮揚と同じポーズを作り『俺もできる』と豪語し、勝負を挑んでいました。もっとも、教団からは相手にされることはなかったようですが、具体的な態度による表明は、オウム的なものに対する本質的な批判になったのではないでしょうか」(芸能ライター)
さらに、江頭はオウム真理教の信者と直接対決を行っている。キーマンとなるのが先輩芸人の浅草キッドの水道橋博士である。
「博士は、今回死刑が執行された中川智正と中学校時代の同級生でした。報道で中川の名前を知った博士は、共通の友人に連絡を入れます。すると、彼はオウムの在家信徒になっており、逆に勧誘を受けてしまいます。住所を訊かれたので博士はとっさに江頭の住まいを教えました。そこへオウム信者が勧誘へ向かい、江頭は空中浮揚のポーズを披露し『オウムの修行より、大川興業の方がステージが高い』と撃退。さらに、信者からお金を2万円借りる偉業を成し遂げます」(前出・同)
もちろん、お笑い芸人としてのネタありきではあるが、オウム真理教の欺瞞を暴いたことには変わりなく、見事であったといえよう。