「ツイてない。やっぱりツイてるのは、霊なのか…」。またも棚橋が不運に見舞われた。
7・21札幌大会の防衛戦後にリング上で毒霧で奇襲したTAJIRIにG1出頭を命じた棚橋。真夏の祭典で制裁すべく、わざわざチャンピオン権限を行使してまで、因縁の相手をG1の舞台に引きずり込んだはずが、散々な結末となった。
序盤から妙なムードが漂っていた。棚橋は場外戦で額から流血させられる苦しい展開。それでもスリングブレイドで反撃ののろしを上げ、ドラゴンスクリューからテキサスクローバーで追い込み、伝家の宝刀ハイフライフロー。だが、2発目を撃墜されてしまうと、一気に形勢逆転を許す。最後はローリングクレイドルで気を失ったところに毒霧を食らって、万事休す。試合後はヤングライオンにおぶられてノーコメントのまま会場を後にした。
そればかりではなかった。試合後はリング上で「きょうはボクが締めます。名古屋のみなさん、愛してマース!」と棚橋の決めゼリフを奪ったマイクアピールで締めたTAJIRIに、菅林直樹社長が退場を促すも、逆に毒霧を噴射されてKOされる始末。新日側が組んだG1での遺恨清算マッチは想定外の大失態で幕を閉じた。
IWGP奪取後は不運の連続の棚橋だが、思えばG1に入ってからもツイてない。この夏はG1開幕戦で大森隆男に不覚をとったが「実はあの日は行きの新幹線で広島で降りるはずが、新山口まで寝過ごしちゃって嫌な予感がした」というように、ここのところ悪いムードを引きずっている。
「ワキ腹が痛いのが治らない。まあ考えてみれば俺のワキが甘いってことなんでしょう」と棚橋。憎きTAJIRIに無念の3カウントを喫し、現IWGPヘビー級王者が予選リーグ突破も怪しい雲行きとなった。
◎中邑 5連勝ベスト4進出
中邑真輔が一番乗りでベスト4進出を決めた。魔の食べ物「アイス」を口にしないことで、好調をキープしているBブロックの中邑は、第三世代の永田裕志と壮絶な“蹴撃戦”。強烈な永田のハイキックを食らって悶絶しかけたが、最後は新必殺技ボマイェで逆転勝ち。なんとか無傷の5連勝を決め、「ひとり見つけた。欲していた形のないストロングスタイルを…。永田裕志さすがだよ」とたたえていた。
◎後藤 飯塚から反則勝ち
なんとか首の皮一枚を残した。開幕2連敗からの厳しい予選リーグ戦を強いられているAブロックの真壁刀義とBブロックの後藤洋央紀が、それぞれ準決勝進出に望みを繋ぐ1勝。開幕から勢いに乗るZERO1の田中将斗を迎え撃った真壁は、必殺キングコングニードロップで息の根を止めて勝ち点を5に伸ばし「いつも断崖絶壁、ここからが俺の真骨頂だ」と巻き返しを誓った。
一方の後藤はここまで反則オンパレードの飯塚高史と激突。この日も凶器アイアンフィンガーフロムヘルを使ってきた飯塚に、消化不良の反則勝ち。あす15日に東京・両国国技館で行われる予選リーグ最終戦に望みを残す結果となった。
◎天山 涙の予選連敗
夏男が無残に散った。真夏の祭典3度の優勝を誇るBブロック天山広吉は、中西学との第三世代対決に最後の望みをかけたが、ケガの影響から本来の力を発揮できずに予選敗退が決まった。
痛む首と右肩を鼓舞しながら闘い、前半戦こそモンゴリアンチョップと頭突きなど根性をみせたが、ジャーマンで首からマットに叩きつけられて悶絶。ダメ押しのヘラクレスカッターでマットに突き落とされ、夏の終わりを告げる3カウントを献上した。
試合後は天敵の飯塚が乱入してきて、リング上で公開リンチされる始末。担架に運ばれ、無言のまま会場を後にした。
また、新日最強外国人の夏も終わった。Aブロックでもジャイアント・バーナードが矢野通にまさかの敗戦。今年は開幕から連敗でスタートダッシュに失敗した“イレズミ獣”の夏は、勝ち点5で公式戦全日程を終えて予選敗退が決まった。