「10歳まで頑張らせるつもりだったから、予定通り。本当によく走ってくれている」と加用調教師はうなずいた。「しかも、毎年、重賞を勝っているんだから、偉いよ」
芝を中心に使われていたころは成績もあまり安定しなかったが、2度の骨折を経て立ち直った6歳からはダート路線をひたすら走ってきた。
父はサンデーサイレンス。母のエリザベスローズは自身も芝のセントウルSを勝ち、繁殖に上がってアグネスゴールドを産んでいる。リミットも血統から芝で期待されたのは無理からぬことだったが、脚元に不安を抱え込んだことで本当の適性を見いだされた。
「あのあたりがこの馬の運。ここまで現役でいられるのも運だよね」
前走は暮れに園田で行われた兵庫GTで3着。その後はここを目標に乗り込まれ、いたって順調。調子のバロメーターは馬体重で「500キロを切ると力を出せないけど、大丈夫でしょう。いい状態に持っていけば確実に走ってくれる。前回の東京は昨年のフェブラリーSで差のない5着。今のデキで、この相手なら」と自信を垣間見せた。
【最終追いVTR】坂路で単走。中間2本目ということもあり、ゴール前で右ムチをビッシリ叩き込まれる意欲的な攻め。この気合注入に力強く反応し、最後までしぶとく脚を伸ばした。明け10歳ながら元気いっぱいだ。