後方から猛烈な末脚で天皇賞を手にしたアドマイヤジュピタ。その後はフランスの凱旋門賞に照準を絞り、北海道で調整に入ったが、ここに誤算が待っていた。
「8月上旬にザ石するアクシデントがあった。大したことはなかったけど、万全の状態で向かえないのであれば…」と友道師は言った。国内最強クラスのメイショウサムソンが10着に崩れ去った事実を見ても分かる通り、伝統ある凱旋門賞は中途半端な状態で使って好勝負になるほど甘くはない。
この秋を国内に専念するという選択は妥当だったといえるだろう。アクシデントを最小限にとどめたことで、その後は順調にきた。9月19日に栗東に帰厩。こちらでは速い時計が不足しているが、「2本追い切ってきたし、気性的にも久々は苦にしない。欲をいえばあと1本ほしいけど、秋初戦としては十分力を出せる仕上がりにもってこられた」とうなずいた。
天皇賞・秋からジャパンC、有馬記念へ。1億円のボーナスをかけた長く激しい戦いが始まる。それは同時に現役最強馬の座への挑戦でもある。
「体つきも風格が出てきた。できなかった海外挑戦の分も、頑張っていきたい」。夢はまだ終わったわけではない。出直しはいくらでもきく。
【最終追いVTR】ストラディヴァリオ(準オープン)を2馬身後方から追走。中間地点から徐々に加速していき、ゴール前はビッシリ追われた。しかし、反応は平凡で併入するのが精いっぱい。まだ動きが本物ではない。