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キャバクラ小説家yanagiが語るネオン街ライフ 〜キャバクラ今昔物語・その21〜 小説に書いたキャバ嬢の思い出 〜リョウ編〜

 さて、前回から「小説に書いたキャバ嬢の思い出」をお送りしています。今回は、一度は卒業した私が、ネオン街に再び復帰するきっかけとなった女の子のことを書いてみたいと思います。※お店、源氏名は個人が特定されない程度に変えます。

 後輩が結婚することになり、地元に戻ってきました。式の直前に、「キャバクラ好きな元の職場の同僚が結婚式に来てくれることになったので、彼らにこっちのネオン街を案内してやって欲しい」と頼まれて、二つ返事で引き受けました。とは言ったものの、当時の私は諸事情あってネオン街から遠ざかっていたので、以前の記憶と勘だけを頼りに、ネオン街へと繰り出しました。顔見知りの黒服も見当たらず、何人かの呼び込みと交渉して、「キングドール」という店に決めました。

 その夜の私はあくまで「案内役」のつもりだったのですが、3人目に隣に座った相手を見た瞬間…私の中のスイッチがカチリ、と音を立てたのが聞こえました。好みも好み、どストライクだったのです(笑)。

 1セットが終了した際、後輩たちから「他の店にも行ってみたい」という要望があがり、私は後ろ髪を引かれる思いで店を出ました。それからまた路上の呼び込み達と交渉し、どこか違う店に行きました。私はもう上の空で、どこの店に行ったのか、どんな女の子が自分の隣に座ったのかさえ、よく覚えていません。2軒目でもワンセットが終了し、後輩たちは帰って行きましたが、私は「キングドール」に一目散に戻ると、即座に彼女を指名しました。同日の出戻りだったので、すごくびっくりされたのを覚えています(笑)。それが、私とリョウとの出会いでした。

 私がリョウに会った回数は、実は、数えるほどしかありません。嘘か本当か、リョウは体調を崩して実家に帰ってしまいました。これも、よくある「トンでしまった」話ではあるのですが、できれば私はそれが嘘であってほしいと今でも願っています。もう二度と会うことはなくても、元気であってほしいな…と。

 私は「キングドール」でリョウと一緒に過ごした僅かな時間の出来事をモチーフに、後に「ネオン街三部作」と名付けることになる小説を書きました。ネオン街ライフに復帰したのもリョウと出会ったからなので、もしもあの夜に彼女と知り合っていなかったら、「キングドール」に出戻らなかったら、今の私は存在していないかもしれません。少なくとも、このコラムを連載することはなかったと思います。

執筆者 yanagi
1978年生まれ 作家、フリーライター、心理カウンセラー、サプリメントアドバイザー。メールカウンセリングサイト「ysカウンセリングルーム」、ライタースタジオ「スタジオY」主催。また、木悠利名義でも執筆活動中。元バーテンダーでもあり、キャバクラ・スナック等のネオン街の裏事情にも明るい。現在、電子書籍サイト「ヨミーバ」にて、yanagi名義で「ネオン街三部作」等、キャバクラを舞台にした小説を多数発表している。■ヨミーバhttp://www.yomiba.com/■ブログ「ysカウンセリングルームの小部屋」 http://ameblo.jp/yscounselingroom/■サイト「ysカウンセリングルーム」http://www.yscroom.com/

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