前回に引き続き、そのトラブルの一例をご紹介したいと思う。
【迷惑電話のストーカー被害にも成す術なし〜女性営業スタッフBさんのケース】
Bさんはガラパゴスケータイから、iPhoneにキャリア&機種変更。しばらくはその便利な使い勝手に満足しきりで、電波のエリアや電池の消耗スピード以外は特に不満はなかった。
ところが、ある日からBさんは無言電話等のストーカー被害に苦しむようになる。昼夜を問わず非通知着信が鳴る日々が続いた。
ここで問題となってくるのが電話機としてのiPhoneの特殊性だ。意外と知られていないのだが、iPhoneの機能・システム上、非通知着信に対しては対処のしようがない。
まず指定番号着信拒否のケースと同様に、非通知着信を拒否する機能が本体における操作設定に存在しない。
しかも、指定番号着信拒否は有料サービスによって拒否設定ができるが、非通知・公衆電話等からの着信拒否の設定はそもそもの選択肢として存在しない。
いかに情報端末として優れてはいても、電話機としてのiPhoneは機能的にかなり脆弱とは言えないだろうか?
BさんのiPhoneには仕事の電話もかかってくるというのに、頻繁にかかってくる迷惑電話に仕事を邪魔され、プライベートタイムも侵される。
Bさんは暫く、着信音が鳴らない状態にし、受話を極力控える形で利用を続けていたが、膨大な迷惑電話の件数に着信履歴もかき乱され、肝心な仕事先からの着信を確認し、折り返し電話をするだけでも一苦労。
ナンバーポータビリティによって引きついだ長年使い親しんだ番号故、仮に番号変更をするにも、番号が変わった旨を連絡しなければならない件数が膨大故に番号変更もままならない状態だ。
すっかり精神的に参ってしまったBさんは結局、元のガラパゴス携帯に機種変更してしまった。
それにしても前回の指定番号拒否にまつわるエピソードに続いて思うことだが、iPhoneの生まれ故郷とも言える米国では非通知着信による迷惑電話で困るような事態がないのだろうか?
(蟹山 新太郎)