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地獄の声が聞こえる穴

 旧約聖書の逸話「ジェリコの城壁」で、ジェリコを征服しようとするモーゼの後継者ヨシュアは神から伝授された秘策を実行する。町を7日間周回した後、祭司の笛の音を合図に兵士たちが鬨の声を上げた。すると城壁は音を立てて崩れ落ちた。事実かどうかはともかく反響音の威力が凄まじいのは確かで、スペースシャトルの打ち上げ時には16秒前に消音システムが作動、機体下に110万リットルもの放水をして、エンジンの反響音による機体損傷を防いでいる。

 インドネシアのスマトラ島メダン。標高2145mのシバヤック山の中腹に、すり鉢状の穴がある。直径2000m、最深部300mの巨大な穴はスアラ・ナラカ(地獄の声)と呼ばれ、地元の人々は決して近づかない。昔から「命が惜しければ近づくな、悪魔が住み地獄の声が聞こえ、恐ろしい死を遂げる」と伝えられているからだ。現に動物も怯えたように近づかず、植物さえ生えていない。

 1956年。アメリカの探検隊がスアラ・ナラカに初めて挑んだ。地上で7人が待機すると、測量士が穴の底へと降りて行った。穴の斜面は砂地で、毒性の物質は含まれていない。底近くには、蜂の巣状に横穴が並んでいた。すると突然、測量士が悲鳴を上げた。調査を中断し、地上に戻された測量士は顔面蒼白で、そのまま、頭を抱え込むようにして倒れた。現場は言いようのない不安感に包まれたが調査は続行、もう1人待機していた地質技師が底へと降りて行った。5分後、ついに穴の底へ辿り着いた地質技師だが、測量士と同様、悲鳴を上げた。すぐさま地上へ引き上げられたが、既に気絶していた地質技師は三半規管が全く駄目になっており、意識回復後も、気がふれたまま正気に戻ることはなかった。

 付近では遭難や航空機墜落が多かったため、周辺を調査し穴で録音されたテープを分析したところ、低周波音が検知された。低周波音が底付近の蜂の巣状の横穴や、すり鉢状の穴に反響し合い、異常な変化を起こしているのではないかと言われている。

(七海かりん/山口敏太郎事務所)

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