めったにラッパを吹くことがない野村師が、キッパリと言い切った。
「今回、ハンデは57kgを覚悟している。だけどたとえ70kgを背負っても勝てると思っている」
競馬にはもちろん絶対はない。しかし、カネトシツヨシオーへの信頼感は絶対的といっていい。その思いをさらに強くさせたのが前走の福島テレビオープンだった。
出遅れた。馬場状態のいい開幕週の小回りコースでは致命的ともいえるロスだったが、3コーナーから軽々とまくりあげて、ピサノパテックを1馬身3/4切ってすててみせた。
「ジョッキーがあわてず乗ってくれたけど、非常に強い内容だったね。出遅れたのは草を食べにいったから。よくやるんだけど、それだけ馬に余裕があって、状態も良かったんだ。だからジョッキーもじっくり乗れたんだと思う。まっ、オープン特別ならあれぐらいやれて当然だけどね」
盛夏を目前に、栗東の蒸し暑さは尋常じゃない。だが、ツヨシオーの状態は前走からさらに上向いている。1週前追い切りは栗東CWコースで6F90秒9→71秒7→55秒3→40秒1→12秒3。間隔が詰まっているうえに、再度、福島への輸送もあるため、直線で軽く反応を確かめた程度だったが、身のこなしは実に柔らかい。夏場に強いタイプのようで、いい汗をかいている。
野村師を超強気にさせている理由はこれだけではない。先日、宝塚記念を制したエイシンデピュティの存在も心強く感じている。
「今年のはじめ、京都金杯であの馬と差のない競馬をしたんだ。当時と比べて今の方が体力がついてきたし、いよいよ本格化してきた感じがするから」
一気にグランプリホースまで上り詰めたデピュティに、これ以上引き離されるわけにいかない。「メンバーも前走と同じような感じやし、あっさり勝つやろ。期待しとるよ」
勝てばサマー2000シリーズのチャンプも見えてくる。秋の飛躍へ、まずは夏の王者を目指す。