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【帰ってきたアイドル親衛隊】チーコちゃんの抜けた後は足が向かなかった少女隊

 80年代のアイドルといえばソロのアイドル歌手が主流だった。1978年のキャンディーズが解散してからも多くのグループアイドルが誕生したが、キャンディーズっぽさをイメージした3人組ばかりで、3人組アイドルの成功は困難だった。

 グループアイドルは鬼門と言われて続けていた時代だが、1984年8月にデビューした少女隊は、これまで出ては消えていった3人組アイドルグループとは違った。ボーイッシュのミホ(藍田美豊)、美形のレイコ(安原麗子)、愛嬌のあるチーコ(市川三恵子)という三者三様の個性を持ち、ノリノリのアイドルソング『FOREVER〜ギンガムチェックstory〜』でデビューを果たし、これまでソロアイドル全盛だった時代に新しい波をもたらしてくれた。「一心同体少女隊」というキャッチフレーズがアイドルファンの間でも浸透して、プチ流行語にもなったほどだ。

 デビュー曲のキャンペーンも始まり、私はいつものように自転車を走らせて、サンシャイン噴水広場へ向かった。現場にはイベント開始の直前に着いたのだが、意外といっては失礼だが、ファンの数はあまり多くなかった。嬉しいようで悲しいような複雑な気持ちだったが、目の前で少女隊を観れる喜びの方が強く、3人の存在に魅了されていた、個人的にチーコちゃんが大好きで、チーコちゃんの笑顔を見るために、少女隊の現場に足を運ぶようになった。当時は後楽園のけやきステージというアイドルイベントメインでやるステージがあり、少女隊はここに出る機会が多く、私はかなりの勢いで足を運んでいた。ここは今で言う後楽園のラクーアである。

 後楽園ではステージが終わると出待ちをするのも習慣だった。本来なら『ザ・ベストテン』や『ザ・トップテン』などの生放送の出待ちをするのが私のスタイルでもあったので、そっちで待てばとも思ったけど、少女隊は残念なことにランクインしても翌週にはランク落ちをすることが多かったこともあり、会える可能性も低かったので、少女隊を待つにはピンポイントの場所を選ぶしかなかった。

 デビュー翌年早々には、2ndシングル『お元気ですか?マイフレンド』が発売され、この曲が少女隊の初主演映画『クララ白書・少女隊PHOON』の主題歌となった。デビュー曲とは打って変わり、しんみり聴かせるバラード調の曲であり、これまでの少女隊のイメージを一気に変わらせるターニングポイントにもなった曲である。映画は吉川晃司主演の映画『ユウガッタ・チャンス』の同時上映として公開されたのだが、私は初日に有楽町マリオンに観に行った。客席の9割を吉川晃司ファンが占拠して、少女隊目当ての客は肩身の狭い思いをしてしまった。それでも初日に映画館で観れたことで、翌日に少女隊のイベントに行った時に、チーコちゃんと映画の話しができたので、これは私にとって最高の思い出になった。

 映画公開以降も大ブレークとはいかなかったが、スマッシュヒットを連発して、1985年8月に発売された『Bye-Bye ガール』が、中山美穂主演の『夏体験物語』(TBS系)の挿入歌に抜擢されたことで、少女隊は一気に来る兆しが見えてきた。しかしこの頃のイベントには、チーコちゃんが体調不良でいないことが多く、ミホちゃんとレイコちゃんの2人の出演ばかりで、私の少女隊へのテンションは次第に落ちてきてしまった。後に椎間板ヘルニアでグループを脱退することが発表され、私の中で少女隊に一区切りを付けてしまった。

 チーコちゃんの抜けた後には、トモ(引田智子)が新メンバーとして加入をしたのだが、やはり推しがいない少女隊には足が向かなかった。そこで自分に区切りを付けるために、新生少女隊が出演するヤクルトスワローズファン感謝デーに出向くことにした。チーコちゃんのいたはずのポジションに別の人がいるのを生で観て、かなり落ち込んでしまった。決してトモちゃんが嫌いでそう思った訳では無いことは理解してもらいたい。この日を最後に私は少女隊の現場には行くことは無くなった。それから4年が経った1989年に少女隊は解散し、メンバーはそれぞれの道を歩みだしていた。

 この解散によって私にとっての少女隊は終わりだったはずが。解散から10年経った1999年に、何と再結成することになった。ミホちゃん、レイコちゃん、トモちゃん、チーコちゃんの4人というありえない組み合わせでの再結成が予定された。しかしミホちゃんが妊娠中だったこともあり、ミホちゃん抜きの3人での再結成になってしまったが、ここにチーコちゃんがいることに大きな意味があった。「少女隊1999」という名前で、デビュー曲の『FOREVER』をセルフカバーでCDも発売された。

 この再結成から15年以上の月日が経ってしまったが、現在チーコちゃんは結婚して、都内の理容室で旦那さんとともに働いているそうなので、四半世紀以上も経ってしまったが、近いうちに会いに行ってみたいと思う。それでは好きだったアイドルに髪を切ってもらいに行ってきます。

(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)

【ブレーメン大島】
 小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしの顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。

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