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2011年甲子園ダークサイト情報 高校野球には「悪い代打起用」もある?

 高校野球には「やってはいけない采配」がある。止むを得ない話かもしれないが、大会直前になると、練習は「レギュラー中心」となり、控え選手はそのサポートにまわされる。控え選手の胸中は複雑だろう。そんな練習機会も奪われた控え選手を『代打』などで起用する采配は、絶対にやってはいけないという。
 「控え選手を起用することが悪いのではありません。ベンチ入りさせた登録選手を使い切るつもりなら、彼らにもレギュラーと同じように練習させなければいけません」(私立高校監督の1人)
 “思い出作り”とでも言うべきなのか…。
 地方大会でそんな思い出作りの代打起用が目立つそうだ。実際に代打起用された控え選手の胸中も複雑だろう。「試合に出たい。でも、直前練習から外された時点で諦めていた。裏方にまわって…」。そんなふうに気持ちを整理していたのではないだろうか。

 高校野球は2通りに分けられる。スポーツ活動に力を入れている学校と、そうでない学校−−。どちらが「高校野球のあるべき姿か」を検証するつもりはないが、スポーツに力を入れていない高校でも、野球部が学校予算をもっとも割いているところは多い。他のスポーツ種目よりも用具代と維持費が掛かるからだが、高校野球は社会的影響も大きく、記録的大敗を喫した、事故を防ぎきれなかったなどのアクシデントがあれば、大々的に報じられる。したがって、スポーツ(部活動)に力を入れていない学校であっても、監督、部長は非難されやすい立場にあると言っていいだろう。

 問題なのは、それなりに力を入れている高校の代打起用だ。敗戦ムードが漂ってくると、やはり、練習させていない3年生を使ってくるそうだ。対戦している側からすると、この代打起用が「もっとも腹が立つ」そうだ。
 「試合終盤、走者を溜めた場面で代打起用してくるんです。代打起用された控え選手は直前練習から外されているから、打てるはずがないんです。何故、腹が立つのかって? かわいそうですし、『代打で使った子が打てなかったから完封負けした』って言い訳にされているようで…。1点取って負けるのも、完封で負けるのも同じ。同じ負け試合なら、監督として、自分に非難が及ばない方法を選択したんですよ」(同)
 試合に出ていない3年生を起用すると、どういうわけか、『美談』にすり変えられる。それを見越して、控え選手を起用する監督が本当にいるとすれば、教育者としても問題ではないだろうか。対戦校の監督からすれば、起用された選手の表情、仕種、ベンチの様子で「察しが付く」そうだが…。
 控え選手を起用するのなら、練習から外すべきではない。

 兵庫県・報徳学園は「高校野球のモデル校」とも称されている。専用グラウンドを持たずに強豪校となったのもそうだが、練習におけるレギュラーと控え選手の差別は一切ない。たとえ大会当日の調整であっても、ベンチ入りできなかった選手にも、レギュラーと同じ練習をさせている。だから、スタンドに上がっても、自分のことのように仲間たちを応援できるのだろう。

 今夏の甲子園大会を取材していたら、数例ではあったが、「ノッカー」の名札を付け、試合前の練習だけ、グラウンドに入った球児もいた。また、試合前のノックにも参加しない球児もいた。こちらも努力、人間性が評価されてのベンチ入りだと思われる。その一方で、控え選手の気持ちも考えられない指導者がいるそうである。(スポーツライター・飯山満)

※部活動における年間予算は、教育機関向けの雑誌『体育科教育』(大修館書店)、及び『マツイの育て方』(バジリコ出版)を参考にいたしました。

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