だが、時給1万円の仕事は決して怪しいものではなく、千葉県内のハローワークで堂々と募集されたという。求人を出したのは、千葉県の人材派遣会社クロテック。仕事の内容は、「福島原子力発電所復興業務。原子力発電所の外周業務。防護服を着て、規定の時間内での作業となります。体力を使う作業となります」。つまりは原発関連作業員だ。
クロテック社の募集によると、勤務は交代制で、勤務時間は8時〜17時の間の2時間。雇用形態は正社員(3カ月の試用期間あり)で、学歴、経験、資格等は不問。住居は確保されており、住宅費、食費は会社負担だという。募集人員は被災地作業員10人、現場作業・作業管理者2人だったが、同社が4月27日に求人を出すと、あっという間に50人以上の応募があったという。
時給1万円といっても、浴びる放射線量を考慮して、1日2時間しか働けないので、日当は2万円。月21日勤務として、月収は42万円。男性ができる仕事としては、かなりの高給だ。しかも、住宅費、食費は無料。原発周辺では遊びに行く場所もないだろうから、貯金もたやすいだろう。原発関連作業員の募集は、同社以外でも出ることがあるようで、ひそかに注目を集めている。
東京電力は下請け業者のことを、“協力企業”と呼んでいるが、国民の命を守る原発作業の仕事が、決して大手ではない人材派遣会社にも委託をされていたとは、少々驚きでもある。
防護服を着ているといっても、当然、放射線を浴びるわけで、将来の健康に不安が残る。失業者でせっぱ詰まったら、果たしてどうするか?
カネか、健康か、あなたならどちらを取りますか?
(蔵元英二)