アイビスSD。初の芝という実績不足を嫌われ、単勝は13番人気だった。しかし、その中身は決してフロックではない。
「直線の千で出遅れたらなかなか…」道中は9番手。前が競り合う展開になったとはいえ、道悪をものともせず不利な馬場のインに潜り込み差し切った。「本当に強かった」それはスプリント界にシンデレラが舞い降りた瞬間だった。
その後は北九州記念に照準を絞り、しっかり乗り込まれてきた。「やっぱり夏は牝馬だね」という通り、本番を迎えた暑さのなかも順調に仕上がっている。難しい気性の持ち主で、かつては栗東の坂路で転倒、重い脳震盪(のうしんとう)を起こしたこともある。ここまで苦労も多かっただけに、今の充実ぶりには師も目を見張る。
今回のポイントはコーナーリング。普段もコーナーに差しかかると引っ掛かるため、坂路でしか調教が行えない。
「多頭数をどうさばくか。勝ったのはもまれなかった時だけだから。でも、前走は控える競馬で結果を出してくれたし、千二なら何とか…」
勝てばサマースプリントの女王に大きく前進する。夢へ大きく踏み出すか、個性あふれるサンアディユが再びサプライズを起こす!