きっかけは吉本興業がこの4月から「中卒・高卒社員」を大量採用するとぶちあげたためだ。
「これまで吉本は、京大、同志社大、関西学院大などの学生をマネジャー等『制作要員』として採用してきた。女子社員も数カ国語ぺらぺらの帰国子女が目立った。以前から比べると、180度の方針転換といえる」(吉本興業関係者)
なぜ、こうなったのか。
「吉本の業績低迷が根底にあると思われます。さらに、体力のない大卒新人が増えたことも一因。マネジャーなどのセクションに必要とされる要素は、忍耐力、寝ないで働く体力・精神力で、学歴は無関係。それならいっそのこと高卒を大量に採用していこうということになった」(芸能界事情通)
これに触発されたのがテレビキー局で、数局が「高卒採用」に前向きだという。テレビ界も吉本と同様にビジネスの将来性が不透明。また、人件費が重荷になっている。
たとえば日テレの制作畑の場合、残業が多いため年2000万円の給料を払ってディレクターを雇ってきた。4年前、これに異を唱えたのが故・氏家斉一郎会長だった。
「あの程度の番組を作っている社員に大金を払う必要はない」と激怒し“賃下げ”を決めたが、波紋を呼んだのはいうまでもない。
バブルの頃から最近まで、キー局が採用してきた学生といえば、スポンサーの子女らコネ入社が有名。多くが大物代議士の推薦状つきだった。
テレビ局はいま、過去に大量に採用したコネ社員が退職時期にあたるため、退職金を払うのに四苦八苦している。
「東大、京大、それに早慶大卒なら最低でも5000万円でかなりの負担」(テレビ業界事情通)
それならば、高卒社員の方に雇用が集中してもおかしくはない。テレビ局員エリート論はすでに過去の話となりつつある。