警察官を騙り、キャッシュカードなどの暗証番号を聞き出し現金をだましとるオレオレ詐欺では、高齢者が狙われるのに対して、架空請求は比較的若い世代が騙されやすい。
この要因は様々に考えられるが、そのひとつにかつての架空請求は葉書で送りつける形だったものが、携帯電話のEメールでの請求にシフトしていることがあげられる。架空請求の文面も「(携帯)サイトの利用料金が未納」といったものや「退会処理がなされておらず、延滞金が発生している」というものになっている。携帯電話を通じてサイトを利用している若者は多く、そうした点をついてくる。
また、これまでの架空請求の文面には未納料金や振り込み先の口座が記載され、請求を促していた。しかし近年、警察が振り込め詐欺の徹底した取り締まりを行い、不法行為に使用されていると疑われる銀行口座をすぐに凍結するようになった。それゆえ、最近の架空請求には、振り込み先は書かかれていない。利用者の身元調査した後に「民事裁判を起こす」「自宅や勤め先へ業者が料金回収を行う」などと脅して、消費者を心理的に揺さぶり、Eメールに記載されている連絡先に電話をさせ、個人情報を聞き出そうとしている。
今年に入り、東京都の消費生活部取引指導課も「メールアドレスや携帯の電話番号から個人情報が特定されることはありえない」とし、業者に「氏名・住所などは絶対に言わないように」と注意喚起を行っている。
架空請求の被害総額は、平成17年の被害をピーク時からは減りつつあるが、未だ17億5207万円となっており、予断を許さない状況が続いている。
(「悪徳商法記者」多田文明)