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毎日王冠(GII、東京芝1800メートル、11日) 女傑伝説最終章―ウオッカ 満を持して始動

 ウオッカの女傑伝説がいよいよ最終章を迎える。

 前走の安田記念を快勝して、牝馬として初めて獲得賞金10億円を突破。さらに牝馬では歴代トップとなるGI6勝の快挙を達成した。
 すでに伝説は作った。それでも、奥底まですべてを見せていない。まだ眠っている能力、それを発揮するのがこの秋だという思いを陣営は強く持っている。
 「1週前に騎乗した(武)豊さんが、今なら引っ掛かる心配がないって言ってくれた。ゆったりしたキャンターを落ち着いて乗れるよう、繰り返し鍛錬してきたけど、それがようやく実を結んだ。やっと彼女も大人になった」と酒井助手は満足そうにうなずいた。
 昨年の毎日王冠の敗因がまさにそれだった。レース前から気持ちがレースに入り込みすぎてしまい、テンからハナに立つ競馬となってしまった。抜群の切れ味とともに同居する精神面のモロさ。それがスーパーホーネットの強襲を許した。

 だが、この秋はそんな唯一の死角が解消したという。無敵の馬が誕生したといっていい。
 「3歳時からまだ心身ともに緩いと言い続けてきたけど、年を重ねるたびに成長してくれた。昨年の毎日王冠と比べてもまったく違う」
 毎日王冠の後は、天皇賞・秋からジャパンCへ。昨シーズン同様、今年も王道を歩む。牝馬限定戦が続いた春とは違い、すべて牡馬との戦いだ。
 昨秋は(2)(1)(3)着と秋の天皇賞1勝に終わった。しかし、今年はすべて勝つという意欲がヒシヒシと伝わってくる。自信の源は精神面の成長。年内いっぱいで現役生活にピリオドを打つのが惜しくなるぐらい、今、女王は充実している。
 「これだけの実績と人気を備えた馬。だからすべてのレースをベストの状態で出走させたい。そして、すべていい結果を出したいんです」
 だれも追いつけないほどの領域へ、ウオッカの自分自身を超える旅が始まる。

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