あのKIDが完全に封じられた。右ヒザの前十字じん帯断裂負傷明けで1年5カ月ぶりのリングは、首相撲で競り負け、レスリングでも圧倒された。「組みが予想以上に強くて腕がパンパンになっちゃって、パンチが出なかった。相手の土俵に付き合っちゃった。それが敗因」。淡々と試合を振り返った。
スタンドでは幾度となく左ミドルを放ったが、打たれ強いウォーレンをKOすることはできなかった。逆にグレコローマン世界王者の組み手にほんろうされ、珍しくテークダウンされて下になる場面ばかりだった。
防戦一方の末に判定決着で1-2。「負けは負け。下になったら駄目」と反省の弁を口にしたが、決して悔やんではいない。KIDは「勉強になった。やっぱ練習しなきゃね。もう一回レスリングを気合入れてやります。次は違う」と気持ちを切り替えた。
初代フェザー級GP王者の道が途絶え、総合では02年5月に修斗でステファン・パーリングに負傷で敗れて以来2度目の黒星。K-1ルール戦を入れても05年5月にマイク・ザンビディスにKOされて以来。ある格闘技関係者は「KIDにとって5月は相性が良くないから試合をしない方がいい」と指摘していた。