他馬とはこれまで戦ってきた相手が違う。トップハンデの58キロが嫌われたのか、4番人気と意外に評価が低かったアドマイヤフジが、好位から危なげなく抜け出す横綱相撲で2009年の初笑いを決めた。
レースはミヤビランベリがすんなり単騎逃げに持ち込み、1000メートル通過が59秒7。馬場が例年にない良好なコンディションであったことを考えれば、オープン馬にとっては、もはやスローペースの部類。その緩い流れを好スタートからスムーズに2番手へ取りついた時点で、“勝負あり”だった。
「気分良く走れていた。4角でズブさを見せて、いったん追走が苦しくなったが、追い出してからはしっかり伸びてくれた。58キロのハンデも、力さえ出し切れれば(勝てる)と思っていた」と年男の川田騎手は文字通り、笑顔で“ウッシッシ”。昨年暮れの有馬記念で人気薄のアドマイヤモナークを2着に持ってくるなど、乗りに乗っている若武者は、「去年も勝たせてもらっているし、今年は大きいところを獲らせたい」とさらなる飛躍を誓っていた。
一方、橋田調教師は「去年もああいう形(好位抜け出し)で勝っているし、乗り役もどう乗ればいいのか分かっているからね」と満面笑み。今後については「二千以下のレースで」とマイルから中距離路線に照準を絞っていく。次走は中山記念(GII、中山芝1800メートル、3月1日)あたりが有力だ。
それにしても、初夢の縁起物とされる一富士(いちふじ)、二鷹(にたか)、三茄子(さんなすび)をなぞるようなアドマイヤフジの連覇。事実は小説より奇なりとはいうが、ここまでくると、もはやできすぎとしかいいようがない。