もちろん、私自身、ママを慕っているし、できるかぎりの支えになりたいと思ってる。
…でも、たまに、ママの影に隠れてしまう自分の立場がどうしようもなく嫌になってしまうときがあるのも事実。
ママの愚痴と、女の子たちからの愚痴。そんな状態のときに、とどめでくるのがお客さんからの愚痴。チーママである以上、板ばさみにされてしまうのは日常茶飯事の出来事。でも、どうしようもなくそれが辛くなってしまうときだってある…。
「夕子、ちょっと痩せた?」
「うそ、本当?」
昔からの馴染みである吉川さんに言われれば、それがお世辞ではなく、本音なんだろうと言うことはすぐにわかる。
「うん、絶対に痩せてるよ。夕子のプニプニの二の腕が好きだったのにショックだよ、俺…」
「きっと、今流行りの何とかエクササイズってやつの成果じゃない? 最近、女の子たちに借りてハマっちゃってるのよ」
痩せたという事実だけに目を向ければ、ありがたいことこのうえないんだけどね。
「…そっか、それならいいんだけど。てっきり、店のことかなって心配になっちゃって」
「店のこと?」
「最近、また一気に新しい女の子増えただろ? どうせ、ひとりでいろいろ背負い込んで悩んでるんじゃないかと思ってさ」
吉川さんのその言葉に、自分でもビックリするくらい驚いちゃった。
いつからか、何かあっても「これがチーママって立場だから」と自分ひとりで勝手に思い込んでいたのかもしれない。そのことに気付かせてくれた吉川さんに、心からありがとうと思っちゃった。
取材・構成/LISA
アパレル企業での販売・営業、ホステス、パーティーレセプタントを経て、会話術のノウハウをいちから学ぶ。ファッションや恋愛心理に関する連載コラムをはじめ、エッセイや小説、メディア取材など幅広い分野で活動中。
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