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ナイトワークのオンナたち・第6回・ナンバーワンキャバ嬢の裏の顔

 12年前のキャバ嬢で、現在はキャバ嬢研究家の菊池美佳子です。今回は、ナンバーワンキャバ嬢のお話。

 皆さまは「ナンバーワンキャバ嬢」というと、どのようなイメージを持たれるでしょうか? 「店1番の美女=ナンバーワンというわけではない」ということは、意外と知られていますが、「1番の美女でなくとも、人並み以上の容姿は最低条件である」と思っている人がほとんどかと思います。しかし、容姿に難があったとしても、ナンバーワンの地位に君臨することは可能なようです。

 ありさは、19歳。因みにキャバ嬢というお仕事は、20歳以上ではなく、18歳以上から就くことが可能です(高校生は不可)。ありさは、高校を卒業し、半年ほどの普通のアルバイト生活を経て、キャバ嬢デビューしました。160センチほどの身長に対して、体重は70キロ近くあるように見受けられます。お世辞にもスリムとはいえない体型です。「だったら、ポッチャリ系専門の店で働けば?」と思いきや、そういった専門店で働くにはウェイトが足りないようです。この業界では「少しだけぽっちゃり」という体型が1番難しいのかもしれませんね。顔立ちも、決して美人とは言い難いタイプのキャバ嬢でした。

 ここまで読むと、キャバ嬢に向いている要素が全く無いように感じますよね。では、なぜ彼女はキャバ嬢になったのでしょう? 理由は、「家に居づらい」とのことでした。

 ありさは、店のすぐ近くで、彼氏と同棲中なのだそうです。その彼氏というのがとんでもないオトコで、ありさが在宅中にもかかわらず、別の女性を連れ込み、時には泊めることもあるようです。その間、ありさはどうしているのかというと、台所の床で寝るのだそう。文句を言わないありさに対して、彼氏が別の女性を連れ込む回数はどんどん増えていき、ついには「お前がいると白けるから、夜は家にいないでほしい」との宣告を受けました。そういった事情で、ありさは夜通し働けるキャバ嬢という仕事を選んだのです。

 とにかく家に居たくないありさは、同伴やアフターなどの店外デートを積極的に行ないました。その甲斐あって、彼女はあっという間にナンバーワンまで上り詰めます。尚、さすがに毎日お客さんに誘われるわけでもありません。アフターの予定もなく、さらには店自体もヒマで早めに閉まってしまう際は、ありさは1人、ギリギリの時間まで、同じビルに入っている居酒屋で時間をつぶしました。なぜ1人かというと、ありさには、店で仲良く出来る女の子がいなかったようです。

 数か月後、ありさがキャバ嬢を辞める時が訪れました。「彼氏が心を入れ替えたのか?」と思いきや、理由は「クビ」でした。お客様の席でうたた寝をしてしまったのだそうです。キャバクラというと、女の子に甘いというイメージが強いかもしれませんが、接客業である以上、店側としては彼女を置いておくわけにはいかなかったのでしょう。

 ありさがうたた寝をしてしまったのは、ほぼ毎日、オープン時間からラストまで働き、睡眠時間をとっていなかったことが原因でしょう。そのことによって身を滅ぼすとは、なんともやりきれない気持ちにさせられてしまいました。(菊池 美佳子)

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