今の彼はスーパースター級までには達していないものの、どんな格上が相手でも一度は攻める競走を展開している。それだけに浜口高彰や山田裕仁、山口幸二・富生ら同県の追い込み勢の信頼は厚い。
レース振りも積極そのものだ。前について抑えられると、引いてインを狙ったり、ホーム過ぎにはまくり返したり、タイムがゆるむバックでは必ずまくって出る。もし、まくりきれない場合でも、外でへばりついて最後まであきらめない。
若手の先行相手ではとことん使ってから自分のレースをする。若手には信頼が厚い。
今年35歳になったが、ますます進化している。奈良のGIIIでも特選では浜口を連れて石丸寛之(岡山)をまくり1着。優秀戦でも稲垣裕之(京都)を追い込んで1着と小回りバンクでもまくりきるパワーを見せた。静岡・日本選手権では高谷雅彦(青森)の先行を前受けしてから引いて、あっさりまくりきった。
ふるダビ弥彦でも竹田和幸(岐阜)を最後まで信頼して、竹田が渡部辺哲男(愛媛)をまくりきると、直線かばいにかばった上で地元の阿部康雄の差しを抑えている。とことん先行を使おうというレースぶりは、若手の信頼が厚い。
平成4年にデビューした時の志智は在校中の成績も21勝で25位と平凡だった。4カ月あとの名古屋では(1)(2)(1)とA級優勝を果たししている。だがS級戦優勝となると、平成14年の地元大垣まで待たなくてはならなかった。昨年の競輪祭では(4)(3)(3)(8)でGI初優参を果たして、賞金ランクも一昨年の39位から27位に上がり4400余万円を稼いでいる。じわじわとトップクラスに上がってきたのだが、今でも中部の追い込み、特に岐阜の追い込みを連れてまくる走りっぷりは変わらない。
ホームバンクは岐阜。同期一丸安貴が隣の一宮でスター街道を歩んだのに対して、志智は一歩ずつ上がってきている。地味ではあるが、調子を落としてファンをがっかりさせることはない。
現在、岐阜所属の選手の追い込みは、少しずつ力を落としている。それだけに彼らの前で闘う志智にとって展開有利が予想される。順調な成績を残してきている志智、あとはGII、GIのタイトル獲りだろう。熟したレースをするだけに人気薄だったら、狙い目だ。まだまだ穴男の残像は輝やいている。