夏は牝馬の格言通り、アイビスSDは2001年に創設以来、8回の歴史の中で6頭の牝馬が優勝している。今年は、勢いのある3歳馬エイシンタイガーや、晩成の血を開花させたシャウトラインなど手強い男馬がそろったが、そのセオリーに逆らっては馬券は取れない。
もっとも、牝馬に照準を絞るといっても、セレクトするのに頭を悩ます好メンバー。そんななか、「ここだけの話だけど、正直、去年の夏は歩様がゴトゴトしていて最低の状態。キミら見ていて分からなかったのかい?」と、ある関係者から今だからこそいえる裏話を入手した。
その馬こそ昨年の覇者で、サマースプリントシリーズの頂点を極めたカノヤザクラだ。
「ここは当初から狙っていたレース」と以前から橋口調教師が公言していたように、同シリーズの対象外である復帰初戦のCBC賞(11着)は、あくまでも叩き台。その思惑通りに、「1回使って馬に落ち着きが出てきた。休み明けで放牧帰りだった前走は一時、かなりテンションが上がっていたからね」と中間の気配は着実に上昇カーブを描いている。
「乗り役も一番要領をつかんでいる小牧に戻るし、何よりデキが最低だった昨年と違い、歩様が滑らかで毛ヅヤもピカピカ。文句なしの態勢で臨める」
前述の裏話を打ち明けてくれた関係者が、凛(りん)と胸を張って送り出すここは、昨年をはるかに凌駕(りょうが)する豪快なパフォーマンスを見せてくれるに違いない。