中山マイスターは健在だった。新旧の宝塚記念馬エイシンデピュティ、ドリームジャーニー、重賞2連勝中のシンゲンなど、例年以上に注目馬がそろったオールカマーを制したのは、中山で重賞5勝を挙げていたマツリダゴッホだった。
「いろいろ考えていたけど、ひらめきで」(横山典騎手)と、好スタートからすぐにハナへ立った。5F通過が61秒0と絶妙なペース。直線を向いても脚色はまったく衰えず、そのまま押し切った。ライバルと目された1番人気のドリームジャーニー、2番人気のシンゲンは成すすべもなく、2馬身後方で2着争いを演じるのが精いっぱいだった。
マツリダゴッホはこれでオールカマー3連覇を達成。「馬が中山を知っているわ。勝負どころで自分からハミを取っていったよ。札幌記念(9着)では行こうとしても、行けなかったのにね」と横山典騎手。「この馬場にしては流れが遅かったし、リラックスして走っていた。まともに走れば強い馬だし、3連覇はえらい」と上機嫌。表彰式では馬上から飛び降りるデットーリ騎手ばりのジャンプでファンをわかせた。
「自分の形で気分良く走れたことが勝因だね。このところ、そういう競馬ができなかったから」とは管理する国枝調教師。連覇を狙った有馬記念で12着に敗れ、今年に入っても大阪杯で7着に凡走。予定していた金鯱賞では追い切り後に鼻出血を発症するアクシデントもあった。
「調教の動きを見ても状態は悪くないと思っていた。勝つ時と負けたレースではフットワークが違う。前走なんかは頭を上げて全然進んでいかなかったのに、今日は最後まで伸びていたから。まあ、モロさもあるということなんだけどね」
気になる次走については、「やはり目標は有馬記念になるだろう。あとは間にどのレースを挟むかだけど、去年4着しているし、ジャパンCということになるかな」と同師。
佳境に入る秋のGI戦線。復活成ったグランプリホースから目が離せない。