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西武・牧田のクローザー転向は「危ない!」の声

 6月26日、新人の牧田和久(26)が「ぶっつけ本番」で、初クローザーの大役を成し遂げた。交流戦終了時に渡辺久信監督(45)は牧田のストッパー転向を明かしていたが、当人は「足が震えた」と“らしくない”コメントも試合後に発していた。

 「打者3人を9球で仕留めるパーフェクトリリーフは圧巻でした。牧田はリリーバーの適性も持っている」
 そう称賛する関係者も多くいたが、アンダースロー・牧田は救援に適さない『欠点』も秘めている。
 「牧田はベテランの山崎(武司)を怒らせるほど、投球術に長けています。初リリーフ登板後に足が震えたと言っていた? あの投球術を見る限り、度胸は満点。リリーバーの適性は十分すぎるくらい持っています」(プロ野球解説者の1人)

 楽天・山崎武司(42)を怒らせた投球術とは、5月6日の対決のこと。山崎に対し、牧田は走者がいなかったにも関わらず、セットポジションからクイックを使い、さらに投球フォームを少し変えるなどして、タイミングを取らせなかった。そのベテラン投手のような“裏技”に、山崎が試合中にも関わらず、罵声を浴びせたのである。
 これだけの度胸があれば、やはり救援の適性はありそうだが、投手出身の解説者の見立ては違う。「走者を出したら、危ない」と言う。アンダースローの牧田は「技巧派」と称されることも多いが、実は「ストレートが生命線」なのである。これは牧田と対戦したパ・リーグの主力打者も言っていたが、「同じアンダースローでも、渡辺(俊介=千葉ロッテ)とは違うタイプ。ストレートにスピードガン以上の速さを感じさせる」タイプなのだ。
 「そのストレートの速さにムラがあるんです。走者を出した場面では極端に速度が落ちるんです。走者を出せば、投球フォームを小さくして盗塁に備えるのはオーバースロー投手も同じですが、牧田は走者を背負った途端、極端にストレートが走らなくなるんです」(投手出身のプロ野球解説者)
 そんな牧田の弱点を露呈させたのが、6月19日の巨人戦だ。巨人偵察部隊は「走者の有無でストレートの速度が落ちる弱点」を見抜き、狙い打ちされた(5回3分の1/5失点)。
 また、アンダースローのストッパーと言えば、現・独立リーグの高津臣吾が思い出される。高津はシンカーを武器にしていたので、走者の有無はさほど影響は出なかった。牧田と高津のどちらが優れているかではなく、同じアンダースローでもタイプが異なるという意味だ。
 「走者を背負った場面で投入できないリリーバーは扱い方が難しい。イニングの最初からしか投入できないので、渡辺監督は選択肢の少ない継投策を強いられる」(前出・同)

 救援向きなのは、性格だけか? こんな情報も交錯している。
 「西武はドライチルーキーの大石達也を先発で育てる方針を変えていません。シコースキーが怪我で帰国し、岡本篤志が二軍落ちした直後、実は大石の救援再転向を唱える声も内々にあったんです。大石の救援再転向の声が大きくならないうちに、ほかに適任者を探すことになり、牧田が選ばれたんです」(関係者)
 大石のクローザー再転向案にも賛成だが、牧田の山崎を怒られたほどの頭脳的ピッチングは「高津のシンカー」にも匹敵する武器になるかもしれない。渡辺監督の本心は「暫くは様子見」だろう。

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