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アンジャッシュとX-GUNの関係

 芸人には必ず、食えない時代に食わせてくれた恩師がいる。だいたいが、彼女か先輩。売れてから、たっぷりと時間をかけて恩を返していくのがセオリーだ。

 ここ数年は、コンビとしての活躍が目覚ましいアンジャッシュ。児嶋一哉は俳優として、渡部建はグルメ芸人として、その地位を築きつつある。彼らも当然、不遇時代は先輩に食わせてもらっていた。児島は西尾季隆に、渡部はさがね正裕に。偶然にもそろって、X-GUNにかわいがってもらっていたのだ。

 今でこそ有名になった、「大島?」、「児嶋だよ!」という定番のイジられ。これを生みだしたのが、西尾と古坂大魔王の“ボキャブラ芸人”。ライブなどでさかんにやっていた悪ノリが、児嶋人気が高まった今、復活したというわけだ。

 仕事がまだ、『爆笑オンエアバトル』(NHK総合/終了)しかなかったころ、児嶋はコンビ解散、芸人引退を考えた。そして、当時の彼女(現在の妻)と一緒に、西尾に相談した。あのとき、西尾が留意しなければ、アンジャッシュの今はない。

 いっぽう、「がねさん(さがね)といるときは、1円も使わなかった」と言うのは、渡部。売れないころ、「キムタクに似てますね」とゴマをすっては、洋服を買ってもらい、夜になると、酒をご馳走にしてもらい。誕生日には、プレゼントのリクエストまでした。

 さがねがすごいのは、ブレイク前の有田哲平(くりぃむしちゅー)、山崎弘也(アンタッチャブル)にも、同じことをしていた点だ。この恩を忘れていないふたりは、立場が逆転した今、さがねをさかんにゴルフに誘っては、全額を負担。“感謝の借金”を、少しずつ返済している。

 2000年代に突入と同時に、“ボキャブラ”人気が完全に去り、『エンタの神様』(日本テレビ系/終了)が新世代芸人の発掘工場となった。それにともない、X-GUNは表舞台から消え、アンジャッシュが台頭した。しかし、まだ、恩を金で返せていない。これからだ。アンジャッシュが恩人に義理を果たすのは。(伊藤由華)

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