そんな疑問を解消してくれる素晴らしいスポットが群馬県の伊香保にある。
『命と性ミュージアム』
ここは命を実感し、性について知ることを目的としたミュージアムである。
まず入館してすぐに入ったトイレに圧倒される。中は豪華なステンドグラスが施されており、怪しい光の中にセミヌードのリアルドールが座っていた。
1階は、性を真面目に勉強するコーナーとなっている。たくさんのパネルや模型などの展示物を見ながら、男女の体の仕組み、性交から受胎、性の歴史などを学ぶことができる。その他、避妊用具、医療用具等、性に関する絵画や彫刻などの芸術作品なども展示されている。
ここでは男女が愛し合い性行為をして命が誕生する素晴らしさを感じることができる。しかし、性の素晴らしさだけではなく、エイズなどの性行為による感染症の怖さや妊娠中絶の危険性なども真面目に解説している。妊婦体験コーナーというものがある。腹に約8キロの重りを巻き付けて妊娠している時の女性の苦労を実感できる。
我々はともすると、当たり前のように生まれ、当たり前のように生きていると思いがちだ。しかし、一人の人間が生まれるためには、まず体外受精などを除いては、男女がSEXをしなければならない。そして、女性は妊娠し、おおよそ10か月の妊娠期間を経て、やがて出産という一大イベントを経なければ、人間はこの世に誕生する事はできないのだ。一人の人間が生を受けるまでには、これだけの壮大なスケールの物語があるのだ。
「来館記念に、赤ちゃんを作っていきませんか?」ということで、館内にはドームベッドが用意されている。1500球のLED青く光る室内は怪しくロマンチックなムードが漂う。実際に行為を行わなくとも、見るだけでも一見の価値があるだろう。このようなアイデアは、日本の出生率低下や少子化問題に貢献していると思う。
2階は、ガラリと趣向を変えて楽しく性を学ぶコーナーとなっている。さまざまな性玩具、十字架、鞭、ボンテージ衣装などのSMグッズなどが展示されている。SEXは、ただ単に子孫繁栄や生殖のためだけではなく、趣味やプレイして楽しむ一面も持っているのだ。
そして、命の尊さを学ぶビデオ上映もされている。実際の出産場面のビデオを鑑賞した。医学部学生の教材ビデオなので、流血シーンの連続で、母親の胎内から赤子が出てくる場面はとても生々しくショッキングである。だが、生命が誕生する場面は感動的ですらある。我々はこうやってこの世に生まれ出てきたのかということがわかり、かなり貴重なものを見ることができたと充実した気分になった。
人類45億年の歴史を支えてきたのが性なのである。性や命について知ることで、自分の存在や生命についてあらためて考えてみるべきだろう。
◆伊香保 命と性 ミュージアム URL:http://www.inotitosei.jp/
呪淋陀(じゅりんだ) 山口敏太郎事務所)