1934年に写真付きで新聞に掲載されていたものだったが、見るからにネッシーの造形が模型であったり、第一、記事が掲載されていた日が4月1日のエイプリルフールだったこともあって、ただのジョーク記事であったことが判明している。
だが、こちらの写真はどうだろうか。これは1972年にネス湖にて発見されたという「ネッシー」だ。以前紹介した記事のものと違い、確かに胸びれも存在し、何らかの生物らしきものである事が解るものとなっている。通説として、ネッシーは古代の首長竜の生き残りと言われているように特徴的な長い首をしているとされている。だが、この写真では首は短く、鼻面が長い少し変わった姿をしていることが確認できる。
この生物はヨークシャー州にあるフラミンゴパーク動物園に所属する、8人の科学者チームが発見し、捕獲に成功したものだとされている。初めは沖合を泳いでいるのかと思ったのだそうだが、ボートで近づいてみると巨大な生物の死体であることが判明したのだ。もっとも、ネッシーにしては小さいので、子供の個体ではないかという説も出た。
この記事はかなりの注目を集めることになったが、このネッシーもすぐに正体が明らかになった。実はこのネッシーの正体はゾウアザラシであり、ダッドレー動物園で短期間飼育され、死亡してしまったものを動物園が引きとり、数日間冷凍保存して「ネッシーの死体を発見した」という記事に使用されたのである。この「ネッシーの死体」記事の掲載日も4月1日。やはりエイプリルフールの悪戯だったのだ。しかし、実際の動物の死体を用いていたこともあって、本物が発見されたのかと考えてしまった人も多かったようだ。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所