そんな中、ある日、私は驚くべき会話を耳にしたのだった。
「最近、ぶさっしーが可愛いよね」
「うん、自分も、ぶさっしーのこと好きだわぁ〜」
AKB48のメンバーはそれぞれ個性的なニックネームを持っている。前田敦子なら「あっちゃん」、渡辺麻友なら「まゆゆ」、柏木由紀なら「ゆきりん」といった感じで、皆いかにもアイドルらしい可愛らしいニックネームを持っているのだ。そんなAKBメンバーのニックネームの中にあって「ぶさっしー」というニックネームにはあまりアイドルらしくない響きを感じる。というか、アイドルには相応しくない「ブサイク」という言葉を連想させるニックネームである。
気になった私は「ぶさっしー談義」で盛り上がる彼らに、詳しい話を聞いてみた。
その結果、分かったのだが彼らが「ぶさっしー」と呼んでいたのは、AKB48の人気メンバーの1人、指原莉乃ちゃんのことであり、正式なニックネームは「ぶさっしー」ではなく、「さっしー」ということらしかった。
なるほど、さっしーなら、いかにもアイドルらしいニックネームであるが、それでは何故彼らは、彼女のことを「ぶさっしー」と呼ぶのか?
彼ら曰く、「ぶさっしー」というニックネームは元々2ちゃんねるで、指原莉乃のアンチが「指原莉乃かわいくないよ。どう見たってブサイクじゃん! ぶさっしーだよ」と言い出して付けたものらしい。どんな可愛い、綺麗なアイドルや女優にでも、そういったアンチは付き物であるが、彼女の場合、面白いのはアンチだけでなく、ファンの中でも「ぶさっしー」という言葉がある程度、定着したということだ。
指原莉乃ちゃんのファンの一部の人達は、ちょっとブサイクなところが彼女の魅力だと語っているのである。
実は彼女、バラエティー番組の罰ゲームとして用意されたバンジージャンプをただ一人飛べなかったことで「へたれキャラ」としていじられていたり、番組の企画でお化け屋敷に一人で入った時には何とあまりの恐怖に「お漏らし」までしてしまったという驚愕の告白までして視聴者を驚かせた。
彼女は、まさに「完璧ではない」「駄目な部分も持っている」という、のび太君のような人間味溢れるキャラクターで、ちょっとぶさいくなアイドルとしてファンに愛されているのだ。
AKB48には、まだまだ魅力的なメンバーがたくさんいる。ファンは彼女達一人一人の個性を知れば知るほど、AKB48にハマっていくに違いない。
(「作家・歩く雑誌・まゆゆ推し」中沢健 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou