復活Vの行方に角界のみならず世間が注目する朝青龍だが、意外にも当の本人が注目しているのはオバマ大統領だった。
無傷の10連勝で優勝争い単独トップに立った夜、朝青龍は眠りにつかずテレビの前にいた。「昨日は夜遅くまで中継を見ていた」。大関琴光喜と激しい相撲を取った後にもかかわらず、この日、日本時間の早朝に米大統領に就任したオバマに釘付けだった。
世界の注目が集まったオバマの大統領就任。モンゴルの英雄が何を思って中継を見ていたのかは定かではないが、オバマ大統領にある期待を寄せていることを吐露した。「経済の暴落をなんとかしてほしい…」
夜ふかしてまでオバマに夢中になるのは当然だろう。朝青龍にとって米国の景気回復は切実な願いなのだ。
米ロサンゼルスでのビジネス展開をもくろむ知人の業者にシコ名を貸し、東京・両国国技館の正面玄関前にちゃんこ店「ワールドちゃんこ朝青龍」が23日にオープンする。
そのちゃんこ店が、ロサンゼルスでも店舗展開を予定しているとあって、オバマの経済政策いかんではビジネス計画を左右しかねない。それだけに熱心なのだ。
この日は土俵の上でも必死さが伝わる相撲だった。大関琴欧洲との対戦。痛めている左ヒジを酷使して猛攻。立ち合いは相手の右腕を抱え込み、空いた左腕で琴欧洲の巨体を揺する。続けざまに左ですくって動きを封じると、最後は叩き込んで勝負あり。
決着直前には琴欧洲の顔面目がけて左腕を振り、ダメ押しの“モンゴリアンチョップ”を見舞おうとした。琴欧洲が倒れていたため空振りとなったが、その必死な姿に場内はどよめくばかり。朝青龍はこのモンゴリアンチョップについて「最後まで勝負はわからないからな」と説明した。