ちなみに、所属タレントが、そろってジャニーを「さん」付けするのは、「敬語は堅苦しいから」という理由から。近藤真彦や東山紀之(少年隊)などの大御所を除き、親子ほどの年齢差がある先輩にたいしても、後輩は「くん」付け。社長にたいしてタメ口が許されているのも、同様の理由だ。これらには、「入所してくる小中学生は、敬語を使えない」という内情も隠されている。
ジャニーさんがジャニーズJr.の予備軍を採用する際、もっとも大事にしているのは、この「子どもは子どもらしく」。ブランドに身を包む、卓越したファッションセンス、完ぺきな言葉づかい。この片鱗が少しでも見える子どもは、絶対に採らない。反して、スポーツをしている、親の食事を食べて家族を大事にしている、大人の顔色をうかがわない。こういう、子ども“らしさ”を、無意識で携えている子は、お眼鏡にかなう。
そんなすべてを象徴する名言が、「YOU、○○しちゃいなよ」。もはや、代名詞といえる。タレントを「YOU」とひとくくりにするのは、700名以上いるタレント名を覚えられないため。「○○しちゃいなよ」は、自身が幼少期にアメリカで過ごしていたころ、よく口にしていた。このふたつを組み合わせ、子どもが緊張しない名台詞にしてみせたというわけだ。
オーディションのその日、ジャニーさんと知らずにタメ口をきいたのは、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷大輔と赤西仁。この図々しさと、初日に社長と話すという強運に導かれ、1度は不採用になった彼らを、その場で合格にした。これも伝説のうちのひとつ、である。