あらゆる動物の中でもトップクラスの愛らしさを持つ猫だが、猫の飼育と決して切り離せないのが、猫の「病気問題」だ。飼い猫の病気で1ヵ月に20万円以上の治療費を支払うことになった飼い主は語る。
「ある朝、飼い猫が急にぐったりとし、お腹に触れると痛がる素振りを見せました。慌てて病院へ行き、血液検査とレントゲンを受けたんです。その日は皮下点滴を受けて帰りましたが、家に戻っても全くごはんを食べず、部屋の隅にうずくまっていました。次の日も朝一番に病院に連れていき、静脈点滴を受けることになりました」
猫の静脈点滴には長い時間がかかるという。朝9時に病院へ行き、夕方6時に迎えに行くスケジュールをこなした。その病院の静脈点滴の料金は税抜き7000円で、ほぼ1日猫を預けるため毎日2500円の入院費もかかってしまう。
この飼い主の猫の場合、それが4日続いた。そのほかにも病気の理由を特定するため、時に2万円を超える検査も受けたという。しかし、大変なのは治療費だけではなかった。
「食欲がなく、どんどん体重が減っていく猫のためにさまざまな食事を用意しました。普段は安価なドライフードですが、ウェットフードを用意したり、嗜好性の高い液体状のおやつを与えたり、ささみを茹でたり。カロリーを摂取させるためにいろんなものに手を出しました」
しかし、猫はそのどれにも口を付けようとはしなかったという。薬を与えるのも一苦労だった。錠剤を直接口に放り込むと泡を吹き出し、粉薬を溶かした水ものをシリンジ(注射器)経由で与えても、唾液とともに全て吐き出してしまう。他の方法を考えざるを得なかったと飼い主は語る。
「おやつが好きな猫は、粉薬を液体状のおやつに混ぜて与えると食べることがあります。中にクリームが入ったドライフードを2つに割り、中のクリームをかき出して薬を詰めたものを与える方法も考えられます。しかし、そもそも食べなければ話になりません。仕方がないので、粉薬を液体状のおやつに混ぜ、シリンジであげるようになりました」
現在も病名は不明だが、ステロイド薬で治療しているという。ステロイドのおかげで食欲は出たものの、投薬方法はおやつに薬を混ぜるというもの。投薬には最低でも15分かかり、ただでさえ慌ただしい朝には大きな負担になるという。
たとえ同じ種類、同じ模様だとしても猫1匹1匹に個性はある。病気になってしまったときに「猫飼い」の真価は発揮されるのかもしれない。