2012年に上梓した『ピンクとグレー』は、処女作にもかかわらず累計25万部を突破。現役アイドルが芸能界の暗部を描く内容は衝撃的で、今月9日には、後輩のHey!Say!JUMP・中島裕翔を主人公にして映画化された。12年から年1ペースでコンスタントに作品を発表し、15年に出した初の短編集『傘を持たない蟻たちは』は現在、フジテレビでドラマ放映中。現在は、文化人としての露出が増えた。
そんな“大御所”加藤を追い越せとばかりに、今ひそかに注目されている次世代の文壇系アイドルがいる。ダンスパフォーマンスがセールスポイントの、A.B.C-Z・戸塚祥太だ。
13年から書籍情報マガジン『ダ・ヴィンチ』で連載しており、独自の着眼点と、読書への強い愛は評判がいい。文才があるため、作詞活動もしており、歌えて、踊れて、演じられるマルチなパフォーマーだ。
幼いころは貧乏だったせいか、貪欲ではなく、リアクションも薄く、自己主張も苦手だったが、映画や読書は大好き。早い段階で知的センスが磨かれ、伊坂幸太郎=著の『重力ピエロ』を電車の中で呼んで、号泣したことがある。“本の街”東京・神保町で取材を受けることもあり、稀に、芥川賞受賞前の又吉と同じ行動をとることもある。
A.B.C-Zでは塚田僚一が頭ひとつ抜けた存在になっているが、隠れたインテリ・戸塚がかつての加藤のように、フィーチャーされる日もそう遠くはなさそうだ。