MAX不動のカリスマが臨んだホームリング最終戦。総合格闘技DREAMの看板を背負ってKのリングに殴り込んで来た川尻を返り討ちにした。2度のダウンを奪う圧勝劇。超満員札止めとなる1万6555人の大観衆を総立ちにさせる勝ちっぷりで、MAXの不動のエースがこれ以上ないラストファイトを見せた。
もし負けた場合には「大みそか出ないで引退する」と“即引退”することを宣言していただけに、絶対に負けられない他流試合。そんな重圧もモノともせず、外敵を寄せ付けない勝ち方でMAXファンの期待に応えた。これで現役引退まであと1試合を残すのみとなった。
引退試合となるのは予定通り12月31日「Dynamite!!」で、そこで今年の「K-1ワールドMAX2009」覇者と対戦する方針にも変わりはない。ただ、周囲の動静は今回の闘いで明らかに一変した。
谷川貞治イベントプロデューサーが「魔裟斗クンに触れてKIDクンがスターダムにのし上がったのと同じように、今回の一戦で川尻クンの知名度がグンと上がった。格闘技の次世代のスターをつくるためにも魔裟斗クンの存在って大きいんだなってあらためて実感しました」と語れば、K-1MAXを放送するTBSの格闘技担当者は「今後のMAXというコンテンツや格闘技界のことを考えるのであれば、来年以降もまだ彼がリングに立つことが必要不可欠。もちろん10月大会(10・26横浜アリーナで行われるGP決勝)も何らかの形で出て来てほしいし、来年の可能性だっていまから探るべき」と引退に待ったをかける。
MAXファイナルマッチでまざまざとその存在価値を見せつけたことが「いますぐにでも辞めたい」という魔裟斗にとっては完全に裏目に出た格好で、周囲の引退回避への動きが強まったのは確か。もっと言えば、カッコ良すぎるMAXでのフィナーレが逆に魔裟斗自身の首を絞めることにつながりかねないというワケだ。
しかし、そんなこととはつゆ知らず、すでに魔裟斗の頭の中では理想の引退シナリオが出来上がっている。「俺的には最後は(過去2戦2敗のアンディ・)サワーとやって勝ったら最高にうれしい。でも、俺って(運を)持ってるから、本当にサワーにリベンジして終わっちゃうんだよ、たぶん」
現役続行についてはこの日も「もう良いってくらいやったから、全然(来年以降も現役を続けるっていう気には)ならない」ときっぱり否定。このままだとカリスマはすんなり勇退ロードを突き進むことになる。