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コンピューターゲームの20世紀 第44回『ギャラクシーウォーズ』

<漫画とゲームの相乗効果>

 1978年に発売され、空前のブームを巻き起こした『スペースインベーダー』。しかし、加熱しすぎたそのブームは短期間で急速に冷え込むことになり、全国各地に発生したインベーダーハウス(当時、大量にできたゲームセンターの多くが『スペースインベーダー』専門とも言えるような店であったため、こう呼ばれることがあった)の多くが閉店したり、業種を変えることになった。しかし、生き残ったゲームセンターは『スペースインベーダー』の次のヒット作を欲しており、各メーカーもインベーダーのコピーゲームから脱却し、新たなヒット作を製作するべく模索していた。

 そんな中で発売された『ギャラクシーウォーズ』は左右2方向レバーに1ボタンという操作系で、固定画面式のシューティングゲーム。一見すると『スペースインベーダー』から脱却できていないと感じられるが、大胆な発想の転換でゲーム性を大幅に変えることに成功している。製作・発売元は『Mr.Do!』シリーズで有名なユニバーサル。後にパチスロの製作メーカーとなり市場を独占するほどにまで発展することになるメーカーである。

 本作のゲーム性は他に類を見ないものであるが、それはどういったものであるか順を追って説明していこう。コインを入れゲームをスタートすると、画面下に自機が出現する。自機は左右の移動が可能であり、上空には障害物である隕石と敵であるUFOが左右に移動している。そして、ボタンを押すと自機に搭載されているミサイルが発射されるのだが、その瞬間からプレイヤーはミサイル自体を操作することになるのである。ミサイルはそのままでも緩やかに上昇を続け、左右に移動させることもできるが、ボタンを押すことでジェットが噴射され高速な上昇・移動が可能になる。これらの操作を活かして隕石をかわし、敵UFOにミサイルを接触させることができれば敵は破壊され、プレイヤーには得点が入るのだ。

 こうして全てのUFOを破壊すればその面はクリアとなり、より難易度がアップした次の面が始まる。逆にミサイルが隕石やUFOが落とす敵弾に触れてしまうと1ミスとなってしまう。また、ミサイルがUFOのどの部分に接触したかで得点が変化し、敵弾にやられるリスクが高い中央部に近いほど高得点が得られる仕組みになっている。通常のシューティングゲームでは自機が主役であり、そこから放たれる弾はあくまで敵を破壊するための脇役である。しかし、本作は弾(ミサイル)を主役におき操作させるという逆転の発想で、一躍人気ゲームの仲間入りを果たしたのだ。

 そして、本作を語るうえで忘れてはいけないのが「ゲームセンターあらし」の存在である。1978年から83年までコロコロコミックで連載されていた同作は、当時のゲーム好きな小学生にとってバイブルのような存在であった。その主人公「あらし」が生み出した必殺技の中でも最も知名度が高いものが「炎のコマ」であり、開発のきっかけとなったのが『ギャラクシーウォーズ』なのである。あらしは悪徳業者によって改造された本作を攻略するために、コマを使い手の動きを訓練。結果、あらしは右手を1秒間に200万回ものスピードで往復させることに成功したのである。あらしはこの炎のコマによって改造された本作の攻略に成功。その効果はあらしのあまりに早い操作にCPUが追いつけなくなり、本作のミサイルが隕石や敵弾をすり抜けてワープするというものであった。

 ゲームセンターあらしには他にも多くの必殺技が存在するが、その中でも炎のコマはダントツで真似しやすく、当時の子供達はこぞってレバーを左右にガチャガチャさせたのである。こうしてゲームセンターあらし大ヒットの1つのきっかけとなった本作だが、当然ながら実際には炎のコマは通用しない。しかしながら、本作のSFC移植版ではリメイクモードであるNEO MODEでゲームを始めると、実際に炎のコマが使用可能になっている。コントローラーの十字キーを左右に連続して入力すれば、ミサイルが無敵になるのだ。この無敵を維持するのはかなり大変であり実用価値は低いのだが、こういった遊び心はプレイヤーにとって嬉しいものなのである。(須藤浩章)

DATA
発売日…1979年
メーカー…ユニバーサル
ハード…アーケード
UNIVERSAL 1979

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