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2009年火祭り優勝者 プロレスラー・崔領二インタビュー

 8日の「火祭り2009」決勝戦(後楽園ホール)で佐藤耕平を倒し、ZERO1最強の男となった崔領二がいまリング内外でブームを起こしている。イケメン選手として女性ファンの熱い支持を受けている『あいのりレスラー』崔にスポットを当てた。

 −−「火祭り」初優勝おめでとうございます。
 「大谷晋二郎と田中将斗が全9回大会のうち、合わせて実に6回も優勝している。プロレス界は年功序列みたいなところがあるんですけど、若い人にもっとチャンスを与えてもらわないと。伝統を変えるには相当なエネルギーが必要だと思う」

 −−決勝は激闘でしたね。
 「佐藤と僕の2人にしかできない試合。あの試合がもっと多くの人に届いてほしい」

 −−ところで、プライベートに関しては、15歳の時、単身イギリスに渡ったそうですが。
 「映画『羊たちの沈黙』を観て『やったれ』って思って(笑)。外国に行ったこともないのにああだこうだ言うのは嫌だったんですよ。二十カ国以上は行ってるんじゃないですかね。小さい国を含めて」

 −−すごく海外志向が強いですね。
 「世界を股に掛けたいっていうのがありますね。ヨーロッパの人々は表現が豊かで、自分が60億分の1の存在だってことを実感したんですよ。僕は全世界の人にプロレスを観てもらいたい。世界という視点だと、ものすごいマイナーな競技だと思うんですけど、どう実現できるのか考えながらやっていきたいですよね」

 −−海外で印象に残っていることは。
 「15歳の時にイギリスに着いた当日ですね。一睡もできずにいたら、ホテルの外からパッカパッカ音が聞こえてきて。真夜中なのに馬車が走ってたんですよね。夢なのか現実なのか分からないぐらい不思議な感じでした」

 −−今までいろいろ挑戦してきた中で挫折はありますか。
 「オランダのジェラルド・ゴルドーのジムに自信満々で乗り込んで行ったらボコボコにされました(笑)。レスリング、空手の選手両方とやってね。格の違いを思い知らされましたね」

 −−これまでの経験の中で学んだことは。
 「どんなことでも小さいことの積み重ねが大事だっていうことを実感しました。『ステップ・イン・ステップ・バック』っていう地味なステップの練習を何万回ってやったおかげで、今も試合中に無意識に体が動いてステップでかわせるんですよ」

 −−海外生活で一番嬉しかったことは。
 「ウェルカム精神で受け入れてくれたこと。人にチャンスを与えてあげるっていうことがすごく大事だと思いました。オランダでもイギリスでもすごい練習にも耐えられたし、励みになった」

 −−日本に帰ってきて、プロレス界に入るきっかけは。
 「とにかく格闘技がやりたくて。ZERO-ONEの『真撃』という日本武道館で行われた大会でセコンドとしてゴルドーに付いてったんです。その時ゴルドーに『お前に会わせたい人がいる』って橋本真也さんの元に連れていかれて、10分後に契約しましたよ(笑)。橋本さんはプロレス界での僕の道を作ってくれた人ですよね」

 −−今日は「あいのり」のヒデさんと会って、自分探しの旅を思い出したと思うんですけど。
 「旅したことは今年に入っての一番の大収穫でした。お金がないとか、不景気だとか言いますけど、たくさん、いろんな人が応援してくれました」

 −−番組の効果でだいぶ有名になりました。
 「コスチュームをオークションに出したら12万円の値が付いたんですよ。行った人の特権ですよね(笑)」

 −−そもそも自分探しの旅に行こうと思ったきっかけは。
 「常識を覆したいってデビューした時から思っていました。先手先手で人とは違うレスラーになりたかったんです」

 −−「あいのりレスラー」と言われるのは嫌じゃないですか。
 「全然そんなことないですよ。分かりやすいという意味でも。本業のプロレスで確固たる実績を残さないといけないですけどね」

 −−最後に一言お願いします。
 「とにかく世界を股に掛けてプロレスをアピールしたいですね。人生を賭けて」

◎ヒデと“合体”
 「レスラー」こと崔と「ヒデ」こと今澤徹男さん(株式会社JAMAA代表)の「あいのり」人気者2人の対面が実現した。
 お台場・ヴィーナスフォートで開催中の「あいのり」イベント会場で出店中の今澤さんは「レスラーさん優しそうでオーラを感じた。男の中の男だと思いました。今までプロレスといえば大仁田厚しか知らなかったですけど、これを機にもっと知りたいですね」と絶賛。
 それに対し、崔は「他のメンバーから良い人だって聞いていました。ぜひ応援に来てほしい」と、旅を経験した者同士通じるものがあった様子。
 突然の2人の“合体”にイベント会場に偶然居合わせたお客さんも大喜びだった。

<プロフィール>
 さい りょうじ=1980年6月3日生まれ。三重県伊勢市出身。188センチ、105キロ。15歳でイギリス留学。その後オランダに渡りジェラルド・ゴルドーの弟子となる。帰国後はZERO-ONEに入団し、01年にイゴール・メインダート戦でプロレスデビュー。04年には佐藤耕平とともにNWAインターコンチネンタルタッグを奪取した。昨年「あいのり」に出演し、「レスラー」として一躍有名になった。帰国後の今年3月、世界ヘビー級王座を獲得したが、同年7月に王座陥落。再起を期した「火祭り2009」で見事優勝した。

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