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人物クローズアップ アロン・ウルフォーク監督が心がけた地元目線の演出

 高知を舞台に、日米間のカルチャー・ギャップがもたらすさまざまな問題を繊細なタッチで描いた映画「はりまや橋」が、現在公開中だ。長編デビュー作となるアロン・ウルフォーク監督(40)に話を聞いた。

 物語は、高知県の中学校に英語教師として赴任していた米国人青年ミッキーの事故死から始まる。
 「私もジェットプログラム(外国語青年招致事業)で1992年から1年間、高知県須崎市に英語指導助手として滞在してました。本当はもっと長くいる予定でしたが、途中で米のフィルムスクールに合格したのでやむなく帰国です。この作品を撮ろうと思ったきっかけは、高知の生活や文化が恋しかったことと、フィルムスクールで映画を作りたいという思いが合致したことです」
 ミッキーには画才もあり数多くの絵を遺していた。それらをかき集めるべく、サンフランシスコから父親のダニエル(ベン・ギロリ)が単身乗り込んで来る。彼は太平洋戦争で日本兵に父を殺され、日本人に対して嫌悪感と偏見を持っていた。
 「本作のテーマは異文化交流。内容はフィクションですが、高知滞在時に多くの人から触発された実体験が大きく影響しています。日本人…特に地元高知の人から見ても正しいと認識してもらえるような演出を心がけました」

 いざダニエルが高知を訪れてみると、ミッキーをかわいがっていた原先生(清水美沙)や教委職員(misono)らから、意外にも温かく迎えられた。それでも日本人に対して開くことのないダニエルの心を、息子の教え子で知的障害を持つ少女エミ(穂のか)から贈られた絵がこじ開ける。その絵にあったのはミッキーが同僚の紀子(高岡早紀)と結婚し、子ども…つまり自分の孫までいるという事実。ダニエルの心中は千々に乱れる。
 「原先生役に清水さんを選んだのは独特の感情を表現でき、英語での演技に説得力があること。MISONOさんは日本の有名な歌手だと聞いてました。実際に会ってみると事前に考えていた通り、演技も性格も歌と同じぐらい良かった」
 今のところ、映画そのものより石橋貴明の娘・穂のか自身の話題が先行している観は否めない。
 「日本の高名なコメディアンの娘だとは聞いていましたが、それは米国人の私にとって無意味です。彼女はオーディションでキャスティングしたんです。1時間ほど脚本を読ませてみて、素晴らしい才能を持っている、ちゃんとエミ役を演じてもらえると判断したから選んだまで。父親の存在や話題性が私の意思決定に影響を与えたことはありません」

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