「夏の真の王者を決めるんだから、ハンデ戦が多いのはいかがなものか」という多くの厩舎関係者から聞かれた不満点が改善されなかったのはいささか残念ではあるが、今年はサマージョッキーシリーズが新設されバージョンアップ。人馬一体、昨年以上に燃え上がる“熱い夏”になるはずだ。
そんななか、5000万円という破格の優勝賞金に舌なめずりしているのは、ヴィータローザを送り込む橋口師だ。
昨年は直前まで5ポイント差あった1位スウィフトカレントを、勝てば逆転できた最終戦の新潟記念でクビ+クビ差の3着。結果、4ポイント差の6位に泣いた惜しい敗戦を糧に「去年はシリーズ参戦が2戦だったが、今年はこの後も小倉記念、新潟記念の3戦をしっかり予定している。ひとつ勝てば、かなり優勝の可能性が高くなるからね」とリベンジVにしかと戦略を立て、このシリーズ開幕戦・七夕賞にピタリと照準を合わせてきた師のハートが最も“熱い”。
無論、仕上がりは文句なし。水分をタップリと含んだ栗東DWコースで、6F80秒3→65秒4→52秒1→38秒9→12秒2の好時計を叩き出し、併走パートナーに圧倒先着。コンビを組む上村ジョッキーに、「少し気を抜くところがあるからゴールまでしっかり追ったけど、いい動きだったね。前回より間違いなくいい状態」と絶賛させた5日の最終追い切りを見れば、金鯱賞から中5週、いつものグリーンウッドへの短期放牧には出さず、自厩舎において入念に乗り込まれた調整パターンが当たったのは間違いない。
「体調面はいうことないし、昨年だってスウィフトカレントに負けたという気持ちはない。今年は去年取り損ねたものを取るという燃え上がる気持ちがあるよ」。この夏のサマー2000シリーズは真紅のバラ一色に包まれるムードが充満している。