search
とじる
トップ > スポーツ > 大相撲 相撲協会ぬるま湯体質露呈

大相撲 相撲協会ぬるま湯体質露呈

 日本相撲協会は2日、東京・両国国技館で理事会を開き、大麻取締法違反で逮捕された十両若麒麟真一容疑者の解雇を発表した。当初は厳罰を示唆していたことから「除名」とみられていたが、退職金を受け取れる「解雇」という大甘処分。武蔵川理事長の恩情だが、異論噴出は避けられそうにない。またしても協会のぬるま湯体質が浮き彫りになった。

 「除名はちょっとかわいそう」。相撲協会改革の急先鋒だったはずの武蔵川理事長だが、処分発表は拍子抜けの恩情となった。
 相撲協会はこの日の理事会で、大麻取締法違反の容疑で1月30日に逮捕された十両若麒麟容疑者の解雇処分を満場一致で決定した。師匠の尾車親方を委員から二階級降格となる平年寄に降格する処分も併せて発表したが、協会幹部や理事長への引責処分は一切なかった。
 逮捕直後には厳罰を示唆していた武蔵川理事長。記者会見は耳を疑いたくなるような内容だった。若麒麟容疑者を除名ではなく解雇とした判断について「25歳と若く、第2の人生を考えれば除名はちょっとかわいそう」と説明。引退届を理事会まで受理せず保留していたにもかかわらず、一切を反故にしたのも同然だった。

 協会の大甘処分。再発防止検討委員のやくみつるさんが武蔵川理事長の発言に「除名だと思っていた。どこに酌量の余地があるのか。理事長は25歳で未来があるという感じでおっしゃっていましたけど、僕は『25歳にもなって』だと思う。解釈が逆だ」と首をかしげるのも当然だ。
 そればかりではない。人事も実に不可解だった。今回は尾車親方だけが2階級降格で責任をとったが、その一方で昨年の大麻問題で降格した元若ノ鵬の師匠間垣親方、元露鵬の大嶽親方がよもやの一階級昇進。よりによって5カ月前に処分を受けたばかりの2人が“救済”されるお粗末な人事までやってのけた。
 若麒麟容疑者は除名ではなく解雇になったことから、退職金にあたる「養老金」が支払われる可能性も出てきた。若麒麟容疑者が協会側に養老金を請求すれば、法的に約530万円もの養老金を支払わなければならない。昨年、同じ大麻取締法違反容疑で相撲協会を解雇となった元若ノ鵬に、580万円の養老金を請求されたホロ苦い過去がある。
 この日の夜開かれた再発防止検討委員会改め生活指導部特別委員会では、養老金について山本浩外部委員(日本放送協会解説委員)から「養老金分の額の損害賠償を請求するのもひとつの案」との提案が出た。また、今後は親方や力士など協会員を対象に「抜き打ち尿検査」を行うことが決まった。
 「今回の処分は理解できない。あれだけ大麻問題が騒がれている中、尿検査でグレーになっていたにもかかわらず、それでも大麻に手を出したタチの悪い25歳の大人に、解雇は妥当とはいえない。そもそも昨年の尿検査だって、その日寝坊していまだに受けていない力士がいることがまかり通ってるんだから呆れる」(角界関係者)
 理事や副理事らへの処分は行わず、相撲協会としての責任は事実上回避した。身内に甘いぬるま湯体質だけが際立った。

(写真=再び起こった角界の大麻騒動に頭を下げる武蔵川理事長(左)と九重広報部長=2日、両国国技館)

関連記事


スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ