色彩も魅力だが、描かれる少女の表情、衣装、シチュエーションなど、幻想や可愛さにプラスアルファされた、どことなしのリアルな表現が、見るものを時にハッとさせる。
ゴスロリを愛してやまない少女たちの間ではすでに人気だが、今やそれらの枠を超え、様々なシーンへと人気の幅も広がりつつある。
過去には大槻ケンヂさんの書籍の装丁に使用されたり、時計のデザインを担当したり、サエキけんぞうさんのプロデュースする音楽系の企画でCDジャケットを担当したりした。
もともと原宿的なファッションが好きで、その流れでゴシック&ロリィタに興味を持った。球体関節人形との出会いはホビージャパン発行のMOOK本「S.M.H 1998年6月号」の球体間接人形の特集記事だったという。仕事としてCGイラストをいろいろと描く中で「自分のオリジナルな作品とは何か」という壁にぶつかった。その時期にもっと自分の好きなものを描いてみようと、ゴシック&ロリィタと球体関節人形をモチーフにした作品を作るようになった。
「少女と毒。少女の純真さゆえの残酷さ、みたいなものの延長線上にある人間の裏と表、美しいものの裏にある汚いもの、そのようなものを考えながら作品を作る事が多いです」とNORIさんは話す。
雑誌などに投稿をはじめ、やがて絵で仕事ができるようになった。そこに至るまでと、それ以降の経験や出会いが、すべて人生の転機へとつながっていった。
つい先だっては、福岡で2001年より開催されている「アジアデジタルアート大賞展」で静止画部門の大賞を受賞した。アングラやサブカルシーンでの活動が多く、自身の絵はコンテストに応募するタイプの絵ではないと思っていたNORIさんは、今回、今まで自分が活動してきたシーンを越えて、もっといろんな人に作品を知ってもらいたいと応募に踏み切り、見事に大賞を受賞したのだ。この受賞に伴い、3月17日?3月29日まで、福岡アジア美術館企画ギャラリーで行われる「アジアデジタルアート展」で展示も行う。
日常、どこに出かけても女の子のファッションやお化粧が気になる。いろいろな人が歩んだ人生なども。それらが作品を作る上で強いインスピレーションを与えてくれるとNORIさんは話してくれた。
ある特定のジャンルのもの、特殊な世界観であったとしても、なかにはジャンルの枠を超え、いろいろな分野にまで影響を及ぼしていく人がいる。富崎NORIさんはまさにそういった力を秘めたアーティストの一人だと思う。
富崎NORI公式ホームページ
http://www.ne.jp/asahi/doll/doll/
(写真家「東京人物画」名鹿祥史)