見事な末脚だった。前走のファンタジーS。4番人気の低評価を覆すパフォーマンスをオディールは見せた。
ハイラップで飛ばしたエイムアットビップの脚は直線に向いても鈍らない。だれもが逃げ切りと思った瞬間、外から猛然と追い上げたのがアンカツとオディールだった。
スタートしてすぐは横一線。そこからエイムアットが抑え切れない手応えで前に出た。4角ではその差10馬身。しかし、安藤勝はスタンドの盛り上がりをよそに、「残り1Fで差せると思った」と勝利を確信していた。
前々走のりんどう賞は出遅れてエイムアットの逃げ切りを許したが、安藤勝に鞍上がスイッチされると好スタートから即反撃。大きなお釣りをつけてリベンジに成功した。
「お母さん譲りだね」母キュンティアを英国のセールで発掘した橋口師は満足げに振り返る。その母は阪神JFの前身、97年の阪神3歳牝馬Sで2着している。繁殖に上がってからは病気のため、種付けできない年が続いた。治療の末、ようやく生まれたのがこのオディールだけに、母の無念を晴らそうと、意気込みは並々ならぬものがある。
中間は順調に乗り込まれている。「りんどう賞の後は疲れが出たけど、今はもうすっかり回復して元気いっぱい」と柴田助手。「このまま順調にいけば、自ずと結果は出ると思う」と相当な自信を見せた。
ダイワスカーレットにダイワメジャー、サンライズバッカスと今年GI(JpnI)を勝ちまくる安藤勝が今回も強い味方だ。「前走でいい感触をつかんでくれただろうし、まったく引っ掛からないので距離が延びても心配ない。本当に乗りやすい馬だから」と柴田助手は人馬に全幅の信頼を寄せている。
キャリアの浅い2歳戦。しかも、デリケートな牝馬の戦いでは何が起きるか分からない。このレースでも過去、何度も大本命が消えている。さてオディールは…。波乱の渦に飲み込まれず勝利をもぎ取れば、早くも来年の桜が見えてくる。