いつも電車の中で、次回はどんなノンフィクションネタを書こうかな〜なんて試行錯誤している私ですが、今回は、最近お店で起きた出来事をお話させて下さい。
私は昼はOLであり、夜は現役ホステスです。
場所は特定されると…。なので控えさせて下さいね。でも、いわゆる都内のお水街、と言っていいエリアだと思います。
今のお店にはママがいて、キャバクラとはまた違った雰囲気です。クラブ? ラウンジ? そんな感じの、大きさは中箱くらい。
優しいお客様が多く、非常に楽しく仕事させて頂いていますが、やっぱりどこにでもいるんですよね、変なお客様って。
そのお客様をAさんとしましょう。
Aさんはママと同郷の方で、彼の会社の上司がママと付き合いの長い常連客。その夜は数人でお店にいらっしゃいました。
Aさんはママに一目惚れしていたようでした。目でわかる女の勘です。同郷ということで話も盛り上がっていましたし。
私は、最初はAさんのことを、気さくで面白いサラリーマンだなぁ、という印象を抱いていました。
ところが。
次の日も、その次の日も、Aさんはお店にやってきました。ほぼ毎日。
次第にAさんの思い込み? が加速し、いつの日か「俺はこの女(ママのこと)を嫁に貰うことになったんだが、まちこ、式場の手配してくれないか?」なんて言い始めたのです。
耳打ちして私に話すならともかく、Aさん自身の上司、いわゆる元々ママのお客様だった人の前でもドヤ顔で結婚宣言。
ママにとってこんな営業妨害はありません。
後日、相変わらずAさんはママ目当てで来店。でもその日はなんだか苛立ちながら店に現れたAさん。
「おい! いつになったらおめぇの親に合わせてくれるんだ! いい加減にしろ! 色目使って俺のこと騙しやがって!」
他のお客様もいる前でAさんは絶叫し始めました。そしてママに絡む絡む。
堪忍袋の尾が切れたママは、ついにAさんを出入り禁止にしました。まるで漫画の一コマかのように、Aさんはママの足にしがみつき、泣きながら、
「ごめんなさい、ごめんなさい、もう二度と叫んだりしません。大好きなんだよぉ、お願いわかってぇ」
気持ち悪いくらいの猫撫で声でAさんはママに懇願していましたが、
「迷惑なんだよ! 金いらないから早く出ていけ! 警察呼んだからね!」
とママが一喝。
泣きじゃくるAさん。そしてすぐに警察が店に到着。なんともまぁ無惨な姿でAさんは警察の手に寄ってその場から連れ去られていったのです。
不幸中の幸いか、その夜は、Aさんの上司はその場にはいませんでした。
Aさんはバツ一子持ちの管理職の方でした。今思えば、あんなにイカツイ見た目とは裏腹に、実は寂しがりやのウサギちゃん、だったのかなぁ、なんて思います。社会的地位と財力だけでは、人間は満たされないものです。
さて、今日もこれから出勤です。シャネルのCOCOマドモアゼルが私のお気に入りの香水。今日もいい香りに包まれて頑張ってきますね。
では、また次回。
文:秋田まちこ ブログ http://ameblo.jp/akitamachiko69/
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