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キャバ戦記33 超常現象を語るキャバ嬢とは?

 夏場のキャバクラは冷房をガンガンにかけている。ドレス着用が義務化されているお店では冷え症になるコも増えているが何故か、お客の胆を冷やすキャバ嬢に遭遇することもある。

 パイナップルのように激しく盛った髪型が特徴的なアツコ(仮名)が席についた時の話だ。
 最初のうちは、他のキャバ嬢と同じようにお客との会話を繋ぐだけのありきたりな質問と返答だった。しばらく会話を重ねていると、夜が怖くて眠れないことがあるとふと漏らしたのだ。かなり真剣な表情をしており、何か大きなトラブルを抱えているかのような雰囲気が漂う。
 「変な現象が起こるから怖いの。私は霊感があるから」

 キャバクラ業界に多い対人トラブルや金銭トラブルと比べたら大したことはないと思われるが、アツコにとっては冗談で済まされる話ではないと熱弁された。
 アツコが自宅の部屋にいると不定期に襲ってくる超常現象があるらしい。
 何も入っていない鞄が突然、カタカタと音を立てて数分間ずっと鳴り止まないとのことだ。怖くて鞄の中身を確認できないため、寝室の布団にくるまってやり過ごすという。
 「マンションで誰かが亡くなったみたいで、それから不思議な現象が起きるようになったって入居した後に聞かされた。本当に酷いよね。私以外にも霊感が強い別の住人が2、3人引っ越していたという噂も聞いたよ。それを知っていたら引っ越さなかったのに」

 キャバクラはお客とキャバ嬢の疑似恋愛空間と称されるが、超常現象の話題を延々と話すアツコを頑張って口説こうという気にはなれなかった。

(月山 皇)

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