もはや、あきれるしかない。今度こそはと期待された興毅のV4戦だが、彼が懲りることはなかった。10年12・26さいたまで同級5位のアレクサンドル・ムニョス(ベネズエラ)との王座決定戦を制し、同王座を奪取した興毅。以降、昨年、選んできた挑戦者はV1戦(5・7大阪)でランキング14位のダニエル・ディアス(ニカラグア)、V2戦(8・31日本武道館)でランキング8位のデビッド・デラモラ(メキシコ)、V3戦(12・7大阪)でランキング12位のマリオ・マシアス(メキシコ)と無名のランキング下位の選手ばかり。
だが、V4戦は指名試合とあって、いよいよ逃げられないと思われていた。ところが、対戦を予定していたWBA同級暫定王者のウーゴ・ルイス(メキシコ)が、3月中旬に国内での試合を計画しているため、交渉は1月下旬に決裂した。そのため、WBAは年内に指名試合を行うよう求めた一方で、日程に余裕がないことから、次戦は相手を自由に選べる選択試合で構わないとした。
そこで、亀田陣営が選んできた相手が、またもランキング下位の無名選手であるマナカネ。先のV3戦の挑戦者は、あまりにもお粗末で、とても世界戦を闘うようなレベルではなかった。マナカネは現在7連続KO勝利中というが、戦績は35戦24勝(15KO)10敗1分けと極めて平凡なもので、世界タイトルに挑戦できるような実績がないことは明らか。まさしく、今回も勝てる相手を招へいしての防衛戦となる。交渉日程に余裕がなかった点は割り引くとしても、もう少しランキング上位の選手を選択すべきである。興毅は「レベルの違いを見せつけて完勝する」と語ったが、そもそも、「レベルが違う相手など連れてくるな」という話である。
興毅は防衛に成功した後のV5戦について、5階級を制覇したWBO世界バンタム級王者のホルヘ・アルセの名を挙げ、「夏ぐらいに統一戦をやりたい。ロスかニューヨークで」と大きな花火を打ち上げたが、これまでの経緯を考えると説得力に乏しかった。
なお、4・4横浜での同興行では昨年8月にWBA世界スーパーフライ級王座を奪取しながら、右目の負傷で休養王者とされた清水智信(30=金子)と、同級正規王者のテーパリット・ゴーキャットジム(タイ)の王座統一戦を行う方向で調整中。昨年12月に、そのテーパリットの王座に挑戦し敗れた次男・亀田大毅(23=亀田)の再起戦も組まれる見込みだ。
(落合一郎)